ケースケ、おつかれさん
そーそ、前の話の続きね
ひととーり、シュースケの恋愛事情を聞かせて貰った後で
話は自然と、私の大好物でもある、
メンズのお仕事の話に移って行ったわね
バイトだろーと、派遣だろーと、正社員だろーと
身分に関係なく私はとにかく働くメンズが大好きで
その彼らからお仕事の話を聞くのが大好き
だって、私の知らない業界、業種の話を聞くことが出来るでしょ
彼らは仕事の話ばかりしてごめんねって恐縮したりするけど
いいえ、私はそこにロマンを感じて楽しんでいるので
問題ナッシングですってね
あるいは、警戒するのか、せめて逢瀬の時ぐらい
仕事のことを忘れてしまいたいのか
自分の仕事の話をしてくれないメンズも一定数いるけどね
そんなメンズに無理強いはこちらもしませんよ
うちの父親は根っからの遊び人だったから仕事もせずに
うちのオンマにばかり働かせて
自分は趣味である骨董品、高級カメラ等の
とかく値の張る品の収集にかまけたり
時々はよその女にちょっかいを出したりなんかして
自分が甲斐性ないばっかりに、
ちょっとでも生活が自分の思い通りにならないと
うちのオンマはもちろん、長女の私や長男である弟を
よく殴ったりしていたっけ
ずっとそんな穀潰しの生き様を見てきたせいか
ちょうどそんな父親が反面教師となって
私や妹はそんな極道者の父親とは正反対の
たとえ発熱しよーとも馬鹿正直に
責任感から仕事に出かけるよーな
そんな愚直に働く真面目な男ばかりを選んできたわね
そんな父親への反動もあるのかな
私がメンズのお仕事話を聞くのが好きなのも
すっかり話が脱線、迂回してしまっているけど
もーちょっと、このまま話をさせてちょーだい
どーせ、父親のことを話すのもこれで最初で最後なんだから
唯一、父親に感謝していることと言えば
そーやって反面教師になってくれたことと
ある冬の日に、1人暮らしの自宅で
心不全でぽっくりと亡くなってくれていて
やれ介護だとかですっかり疎遠になってしまった
私たち子どもを煩わせなかったことぐらいかな
尤も、その後で唯一残された彼の借金の対応で
しばらくは振り回されてしまったけどね
閑話休題
だから、私は思い切ってシュースケに訊いてみたのよ
「…私、メンズのお仕事を訊くのが大好きなの
ねぇ、良かったら、シュースケのお仕事の話も訊かせてくれない?
色々訊くかも知れないけど、そもそもどーして島に残ろーと思ったの?
だって、若い人って島から出てしまうものでしょ?」
「俺、高校卒業して進学しよーかと思っていた時に
両親が離婚してしまったんです
俺の下にまだ弟が2人もいたから、
経済的に厳しいだろーと思って
島の外へ出て進学というのは諦めたんです
だから、高校卒業したら島に残って就職しよーと思って
そのまま就職しました」
「そーなんだ。それで、どんな仕事をしてるの?
島で就職先なんかあったの?」
そー尋ねると、シュースケは全国的にも有名な
ある食品メーカーの名前を挙げたわね
そーだった、確かに島にはその大手食品メーカーの工場があったわ
島に降り立つたびに、その食品の香ばしい匂いが漂っていたっけ
毎日嗅がされる身としては溜まらんと思うけどね
実際、シュースケは工場勤務が終わるたびに
職場でシャワーを浴びて帰宅するらしいけど
その食品の匂いはしっかりと
シュースケの体に染みついてしまっていて
決して取れやしないとも言っていたっけ
「あー、分かるよ、そのメーカー知ってるよ
知ってるどころか、愛用してる
毎回、そのメーカーの物を買ってるよ」
「そーでしょ、たぶん業界シェア、ナンバーワンだと思う
だから、高卒で島でその工場に就職できたことは、
既に大変な出世ということになるんスよ」
「なるほど、だからこのまま島で骨をうずめるつもりでいるのね」
「そーすね、一度ぐらい島の外に出て、
都会に行ってみたい気もありますけどね」
「ね、具体的に工場でどんな仕事をしているの?」
「入社して初年度は、出来上がった製品の箱詰めと
ラベル貼りですかね
正直言って、この仕事は楽勝過ぎて退屈でしたね」
「なるほど、それじゃ、今は何をしているの?」
「今は工場で一番危険な部署に回されて
油断大敵のそんな仕事をしていますよ」
「工場で一番危険な仕事?
具体的にそれはどんな内容なの?」
「原材料を焙煎する仕事です
材料が小さいので、焙煎されて熱っされたものが
ポンポンとこちらへ飛んでくるんスよ
それが顔に当たって、火傷して皮がむけたこともあります
後は、焙煎するためのバーナーの炎を見張っていないと
火事になってしまう危険性があるから油断出来ないし
工場内はほとんどオートメーション化されているんスけど
その焙煎だけはどーしても人の手や目で確認してやってやらないと
なかなか上手くいかないみたいで
しかも、その材料を機械の羽でかき混ぜながら焙煎してやるんスけど
どーしても機械任せだと偏りが出るんで、
時々は人の手で均等に均してやらないとダメなんスよ
その時に、うっかりと羽で腕を飛ばしてしまう人が何人かいます」
「…え?そーなの…危険過ぎるわね…
そーね、どんな工場でも最後の仕上げは
人間の目や熟練した職人の感覚頼みだって
聞いたことがあるわ、まさにそれなのね」
私がシュースケの話を聞いて、
感心したよーに独り言ちてると
シュースケは突然私にキスをしてきたの
もー、辛気臭い仕事の話はこれで終わりだと言わんばかりにね
そりゃ、そーね
何も私たちは就職面接をしているわけじゃないのだし
それに、これは後でシュースケから聞いた話だけど
この日、シュースケはセックスが出来るって
かなり勇んで私に会いに来たと言うわ
シュースケのキスは年齢の割には、
そしてそーやってかなり張り切って私に会いに来た割には
ガツガツとしたキスではなくて落ち着いた優しいキスだったわね
それから印象的だったのは、
これまでに私が逢瀬したメンズと違って
最年少となる彼らしく、口の中がとても瑞々しかったこと!
まるで熟れた桃みたいなみずみずしさ!
それは、後に彼に乳首を口に含まれたときにも感じたことよ
私は母乳なんて誰にも飲ませた経験なんてないけど
世間の母親も自分の赤子に乳を含ませるとき
同じよーに感じ入るものなのかしら?
確か、赤子のよだれには若返りホルモンが
たくさん含まれているらしーのだけど
それは大人になるにつれ、
唾液の量と共にどんどんと減っていってしまう
それをまだシュースケはたくさん保持してる
否応なしに2人の年齢差を突き付けられたよーな気がして
軽いめまいにも似た感覚に襲われたものよ
そー言えば、「逆ナン」でワンナイトしたこーきだって
シュースケとわずか1歳しか変わらないのに
そんな印象を受けなかったのは
既にこーきはヘビースモーカーだったからだわ
反対に、シュースケは両親がスモーカーであるにもかかわらず
タバコは大嫌いで、そんでもって、そんな彼がターゲットとする
特に40代女性は煙草が身近にあった最後の世代だから
非喫煙者の40代女性をサイトで探し出すのは
なかなかの至難の業だとも言っていたわね
そうして私たちはキスをしばらくした後、
一緒にお風呂に入るべくして服を脱いだの…
to be continued…
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