教祖様、お疲れ様です
早速、前回の話の続きをさせてくださいね
マコトと焼き鳥屋を出る頃、私は自然に
「私の泊まっているホテルへ行く?」
ってマコトに言っていたのです
見ず知らずの、しかもサイトで出会ったばかりの
男を自分の宿泊先へ連れ込むことに
何かしらの恐怖はなかったのか?ですって?
全然なかったと言えば嘘になりますけど
そーなればそーなった時に考えればいいと思ったし
むしろ、相手がマコトならそれはそれで
何だか面白そーだなと思ったぐらいです
それよりも、2人きりでマコトともう少し
おしゃべりを楽しみたいと言う思いの方が強かったですね
「俺、パレスホテル東京なんて行ったことない
確かに内部がどんなのか見てみたい、いいの?」
マコトはそーいうと、
焼き鳥屋で最後の締めのスィーツとして
私は杏仁豆腐を食べたかったのだけど
生憎それがなかったことを覚えてくれていて
コンビニで色々買い物をしてから行こうって
提案してくれたのです
相変わらず靴擦れはじんじんと痛むし
お酒が入って気だるくもあったので
最初、私はここで待っているから
1人で買い物して来てとお願いしたのだけど
何だか片時さえもマコトと
離れるのが惜しくなってきて
やっぱり私もついて行くと
一緒にコンビニに立ち寄ったわけです
焼き鳥屋での酒量だけでは
やはり物足りなかったのか、
マコトは私に
「お酒を買ってホテルで飲んでもいい?」
って律儀に尋ねると、それでも遠慮してなのか
控えめにビールのロング缶を1本だけ
買い物かごに入れましたね
それから杏仁豆腐の種類が思いの外多くて
どれにするか決めかねている私にマコトは
「俺も食べるから、全種類買えば?」
って言ってくれて、本当に全種類かごに入れてみたり
靴擦れ用のバンドエイドを探したけどそれはなくて
そーそ、そーやって衛生用品を探している時に
私は用心してマコトに言ったのです
「ねぇ、どーなるか分からないから
一応ゴムも買って置いて」
「そーだな、どーなるか分からないから
買って置くか♪」
マコトは一瞬驚いた顔をしたよーな気もしたけど
直ぐに明るく言うと、コンドームも
買い物かごに入れたのです
レジで支払いを済ませると、
私たちはタクシーで私の滞在する
パレスホテル東京へと向かいました
これまで上京するたびに
ホテルのスィートルームに宿泊しても
教祖様は午前中に私の部屋に訪れて
最終の電車に合わせて帰るので
いつも独り寝ばかりで誰かと宿泊したことがない
でも、今夜はマコト同伴でホテルの部屋に戻るわけで
確かにマダムのよーな服装の私に対して
マコトの服装はいささかカジュアル過ぎた
ナンパのメッカに乗り込んだり
サイトでデートするメンズを募集して会ったり
ホテルの外で散々いかがわしいことをしてきた後で
特にスィートの宿泊客はサービスの都合上
ホテルスタッフに顔も覚えてもらっていたりして
私は今更ながらにそんなスタッフに
自分のことは棚に上げているのは重々承知で
さもいかがわしい雰囲気のマコトを
同伴しているところを
見られてしまったらどーしようとか
そんな実にくだらない、
スノッブな考えが浮かんだりしたの
でも、夜伽の相手にメンズをお持ち帰りする
ということに味を占めた私は、
今後もこーやって誰かメンズと夜更けに
ホテルへ戻ることでしょーね
これぐらいの気まずさなんて早めに慣れないと
それでも意味深なマコトとの会話を聞かれたくなくて
私たち以外無人のエレベーターが
私の部屋のフロアーに到着するまで
やや寡黙にやり過ごしたわけだけど
部屋に入るとマコトは部屋の広さ、インテリアに
少し驚いたよーな声を上げて
それからこの部屋自慢であるベランダに出ては
そこから皇居を見下ろせることに彼は感動したよーで
しばらくそんな夜景を眺めていたわね
それから全く方向の分からない私に
あっちが新宿だとかこっちが赤坂だとかいろいろ
教えてくれたりしたの
それから彼は少し興奮した調子で
他の階のフロアーも見に行きたいと申し出ると
私からこの部屋のカードキーを借りたわけだけど
「くれぐれもルームーキーをなくさないでね」と
念を押す私のためにマコトはわざわざ自分の財布を
この部屋に置いて出かけに行くというの
別にそこまでしなくてもいいのにって思ったけど
なるほど、そんな律儀なところが
何だかマコトらしいと思ったわ
もちろん、私だってそんなマコトの財布など
一切気にも留めず触れもしなかったけどね
あ、ひょっとしたらマコトはそーやって
私のことを試していたのかも知れないわね
でも、マコトはさすがに演技に携わる芸術家として
私とは興味の持つところが違うと思ったわ
だって、私はマコトみたいにこのホテルを
探訪してみたいとは一度も思ったことはなかったもの
確かにこのホテルは好きだけど
それはここで働くスタッフの雰囲気
ここを訪れる客のどこかよそ行きの雰囲気
それを含めて好きなのであって
このホテル自体のインテリアや建物自体には
そんなに興味は持てずにいたわけだから
私自身もそんな風景の一部として溶け込めることを
期待してこのホテルに滞在していたわけだし
やがて夜更けの密やかなホテル探訪から戻って来た
マコトと私はリビングのソファーに腰かけて
私の好みを覚えてホテルが用意してくれていた
シャンパンのフルボトルを実に手慣れた手つきで
造作もなく栓を開けてしまうとマコトは
私のフルートグラスに注いでくれたの
うふふ、全てがスマートで手慣れてる
慣れないメンズなら、
コルク栓をあらぬ方向へと飛ばしがちなのにね
うふふ、彼は誰かとこんな風にシャンパンをたしなむ
そんなシーンできっとそれなりの場数を踏んでいるのね
私が静かにシャンパングラスを傾けて飲んでいると
彼は買ってきたビールのロング缶を開けていたわ
こーして、私のスィートルームで
2次会は始まったというわけ
to be continued…
コメント