ゆーや、おつかれさん![]()
さ、今夜も、愛人帝王学の
レクチャー始めるわよ![]()
え、何、ゆーや、質問があります!ですって?
積極的な姿勢はとてもいいことよ、
いつでもゆーやの質問は
核心を突いて来るから、ちょっとドキドキするけど、
一体どんな質問かしら?
トオル兄さんの直接上のパイセン愛人だけあって
ツヨシ兄さんは、トオル兄さんを上回る
深刻なポンコツ愛人とお見受けしました
デリヘル嬢みたいな逢瀬の提案をされ
それを断ったために、ツヨシ兄さんから
逆ギレのLINEを貰った時点で、
「さっさと見切りをつけて、
心置きなく新しいメンズをなぜ
探そーとはしなかったのですか?」ですって?
そーねぇ、それはまさに
「腐りかけのオレンジ理論」によるかしら![]()
ポカンとした顔をしなくても、
今からちゃーんと説明してあげるわよ![]()
例えば、ここに腐りかけのオレンジがあったとするわよね![]()
普通ならそこで捨ててしまう人もいるかもしれない![]()
だけど、あたしはどちらかと言うと、
みみっちい性格ですからね、
既に腐っている部分だけを切り落とすと
まだ食べられそーなところは取って置くのよ![]()
だって、そーでしょ?
実物は大きく違ったけど、
それでもサイトのプロフ写真で一番の好みのタイプが
まさにこのツヨシだったわけだし![]()
ま、実物もそこそこ私の好みだったわけだし![]()
その後、サイトで物色しても
このツヨシを越えるメンズは
なかなか見つけられずにいたわ![]()
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それにね、そもそもいるかどうか分かりやしない
たった1人のMr.パーフェクトの存在を信じて
せっかく見つけたそれなりの
好みのタイプのメンズを手放すのは
何だか勿体ないような気がしたのよ![]()
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手放すのはいつでも出来たしね![]()
そーやって、ちょっとずつメンズの良い所取りをして
そーやって、ちょっとずつ自分の欲望を細分化して
複数の色んなメンズに私の欲望を叶えて貰おうと思いついたのよ![]()
そしてちょうどいいタイミング
で現れたのが、
ヒロシと東京出張だったわけよ
ヒロシがツヨシを差し置いて第2愛人と呼ばれるわけは
詳しくは、本編のその7で既に説明済みだから分かるわね?
そう、ヒロシとは男女の関係になるのに
10年かかっただけであって
知り合ったのも、男女の関係を持つようになったのも
ツヨシより早かったからよ![]()
そして、私がヒロシを誘惑しようと思った動機も
詳しくは、本編のその6で既に説明済みだから分かるわよね?
10年前に初めて会った時、
互いに一目惚れをしていたからよ![]()
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お酒が大好きなヒロシは、
あたしの職場での飲み会で酔っ払ったりすると
あたしのことをからかいに来ることはあっても
素面の時の彼は、あたしのことを一瞬凝視したかと思えば、
後は決してあたしと目を合わさず、あたしの方を見ることもなく
まるではにかみ屋の多感な少年みたいで
実に私への想いが分かりやすかったわ![]()
一方あたしは彼ほど露骨に態度には出さないものの、
一時あたしは彼のことを「悩ましの君」と呼んでいたぐらい
彼があたしの近くに来ただけで、
主にその彼の肉体労働で鍛え上げられた体に
ドギマギと怪しい気持ちにさせられたものだし![]()
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そんな気持ちを払拭するためにも
彼に対して好き避けをしているような感じだったわね![]()
でももうこういう青臭い恋愛ごっこは終わりにして
あたしは何が何でもヒロシを誘惑して
メイクラブを遂げてやるって決めたのよ![]()
そのためには、まず東京出張へ
ヒロシを駆り出さなくてはならなかった![]()
あたしは一旦相手を誘惑するとスイッチが入ったら、
そこから急に怖いもの知らずになるの![]()
迷いが一切なくなるというか、
まさにあの時の感覚ってば、私自身じゃなくなって、
何かに心身を乗っ取られて操られているような感じね
電話番号を知っていても
日頃はかけることをためらっていたヒロシに
あたしは迷うことなく電話をすると、
極めて落ち着いたビジネス口調で
「あたしも要員として同行するから
彼にも東京出張へ行って欲しい」と
ストレートにお願いしたの
するとヒロシも快諾してくれたわね![]()
そうやってヒロシへの根回しを済ませた後で
上司である夫も出席していた会議にたしも参加して
平然と、出張要員にはヒロシが適当であると推薦したのよ![]()
当時から、主にヒロシが私に好意を抱いているらしいと
勘ぐっていた夫は、
あたしのことをじろりと見たような気もしたけど
全然気にもしなかったわね![]()
あたしは肉食どころか完全に狩人気質のところがあるのね![]()
獲物を誘惑して落とすまでの過程が一番興奮して楽しいのよ
落としてしまうと途端につまらなくなってしまうというか![]()
逆に男性から口説かれると引いてしまうタイプかな![]()
あんたなんかお呼びじゃないんだから、
あたしに近寄らないでってね![]()
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あたしから追いかけて獲物を仕留めるのが一番好きなのよ![]()
それから、ツヨシやトオルと言った、
ダメンズばかりに執着してしまうのも
あたしが愛情をあげたくて仕方ないタイプだからでしょうね
私は愛情クレクレ星人ではなかったみたいだわ
閑話休題![]()
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そうやって外堀を埋めてヒロシを東京へ連れ出したの
自分の経営する会社の都合で彼は遅れて合流したわけだけど
この後繰り広げられる私の企みなど露ほどにも知らぬ彼は
相変わらず照れながらあたしと
付かず離れずの距離を取っていたわね
いいえ、彼は知っていたわね![]()
その当時から2年前にも
あたしは東京出張へヒロシを連れ出し
その当時から2年前は
関係者で会食がまだ許された時期だったから
それを済ませた後で
2人きりの2次会へとヒロシを
直接電話で誘い出したわけだし![]()
その時にヒロシは自分に対する
あたしの気持ちを理解した筈よ![]()
だけどその時はまだ
機は熟していなかったのでしょうね![]()
彼にしては珍しく1次会の酒量だけで
したたかに酔っているような感じだったし
宿泊ホテルの直ぐ近くにあった
外資系の高級ホテルのバー
で
こっそりと待ち合わせをしたのだけど
素面だったあたしに対して
酔っ払っていた彼に大人の男ならバーでは
バーボンのロック
だわって
あたしが面白がって勝手にオーダーしちゃったのね![]()
今にして思えばこれが
悪ノリし過ぎだったと反省しているわ![]()
ヒロシはバーボンより
ウォッカが飲みたかったのにね
あたしはジンリッキーをちびちびと飲んでいたけど
ヒロシにとっても念願のあたしと
二人きりのシチュエーションに
すっかり彼は舞い上がっていたのもあったし
彼も好きなウォッカでちびちびと
やりたかったのでしょうね![]()
ぐぃっとバーボンロックを
あおるようにして飲み干すと
ウォッカのロックをオーダーし直したの
日頃、酒豪で鳴らしている彼にしては珍しく
もちろん立て続けに強いお酒を早いペースで
飲んでしまったのが一番いけなかったのだけど![]()
蓄積した日々の仕事の疲れとか
彼にしては慣れない東京の地での出張とか
思いがけないあたしからの誘いとか
色んな要素がごちゃごちゃと一気に一度に
ヒロシを襲ったということもあって
彼はウォッカを飲み始めた頃には
かなりの酩酊状態だったわ
日頃はぼそぼそとそんなに大きくない声で
ゆっくりと噛みしめるかのように話す
ヒロシだったけど
すっかり出来上がっていた彼は、
やたら大声であたしに話しかけて来たわね
元々地声の大きい方であるあたしも
そんなヒロシに合わせるかのよーに
自然とさらに大きくなっていたみたい
だって静かに飲んでいた客が、あたしたちの方に一瞥すると
何だか次々と立ち去っていく、そんな感じがしていたもの![]()
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あー、あたしたちってまさに
下品極まりない客だったわね
今思い出してみても、
恥ずかしさで消え入りたくなるわ![]()
でもまだこの後に大きなトラブル
が
あたしたちを待ち受けていたのよ![]()
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いつでも自分の欲望を果たそうと、
それに忠実に従った行動をするも、結果的にその都度、
空回りばかりしているあたしのことを
ゆーやはとても面白いと言うけれど、
まさにこのときもあたしの目論見とは大きくかけ離れて
トホホな大惨事
を
招くことになってしまったのよ
おぉ、それについてはまた明日、お話しするわ![]()
今日のレクチャーはここまでよ![]()
しっかりと学んで、
素敵な愛人さんになってね♡
間違っても、トオルみたいな
ポンコツ愛人になってしまってはダメよ![]()
それでは、またね〜![]()


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