キデも身を起こすと、
トオルが用意してくれた炭酸水を
トオルに開けて貰って飲んだ。
タバコを吸い終えたトオルは
いつの間にかキデの背後に回ると
ピタリとくっついてキデのMを触って来た。
「なかなかエロいことをしてくるわね」
「時間は有効活用しなくてはね♪」
トオルはキデの愛液を指ですくうと、
その指をじわじわとキデのアナル付近まで這わせ、
今にもそこに指を入れようとした。
「ちょっとッ、何してるの?
分からないと思ったの?」
「あ、バレた?」
相変わらず、トオルはキデが禁忌とする、アナルに
愛人筆頭の権力を見せつけるかのように、まだ挑みたいらしい。
この間の逢瀬から、バックやアナルでの挿入、中出しなど、
キデが決してメンズには許さないことばかりを求めるのだ。
さすがのキデも決してトオルに
許すつもりはないが。
「不潔でしょ、私が許さない訳も知ってるでしょ?
今すぐ手を洗って来て。新婚病になるって言ったよね?」
「はーい♪」
トオルはバツが悪いのか、すぐさまバスルームへと消えた。
手を洗ったトオルが戻って来て、キデは話した。
「それはそうと、私が『読者とメイクラブ♡』の第1話で
逢えないストレスが好きという気持ちよりも上回ったら
別れるかも知れないって書いたことについてはどう思うの?」
「せいぜい愛人降格して、
セフレになってつながるのかなって思ってる♪」
「セフレ?ちょっと、私におけるセフレの定義が
どのようなものか分かって言っているの?
セフレはKidechan’s men において、
甘えと妥協の許さぬ、
エリートポジションであることは
重々承知だよね?
トオルは性欲減退、そもそもセフレトライアルの
年齢制限も大幅に超えているのに、
一体どういうつもりで言っているの?
それに、そもそも逢えないのが
ストレスだって言っているのに
たとえトオルがセフレになったとしても
それが改善されるわけじゃないでしょ?」
「そうだけど…
ほら、何て言うのかな、見知らぬ男より
見知った男との方が、逢瀬だってしやすいだろ?
そんな感じだよ♪」
「あのね、私は一度縁が切れた男とは
どうこうしようとするタイプじゃないの
それなら、次行ってみよーってタイプなのよ」
「…それってば、単に私と離れたくないって
ことなのでしょ?」
「…うん、離れたくない」
キデは一口二口炭酸水を口に含むと、
炭酸水をサイドテーブルに置いた。
それから二人は横たわると抱き合ってキスをした。
しばらくキスを楽しんだ後、
またもやトオルはFを促す眼差しをキデに送った。
キデがFをしていると、
トオルはキデに軽く触れた。
どうやらキデと69をしたいらしかった。
キデは69の体勢を取りながら、
あんなに好きな体位であるにも拘わらず
トオルとはそんなにしたくないなと思った。
なぜだろう?
トオルはやはりどこまで行っても、
「陽キャラの男」で自分の挿入までの
場つなぎ的な愛撫をしがち。
そんなに女性への愛撫が熱心なタイプではない。
そんなトオルに無理をさせたくない、
ここで下手にムリをさせて
せっかくのトオルの勃起を
損なわせたくないという心配の方が勝って
全然楽しめそうになかったからだ。
実際、トオルは軽くキデのMを舐めると
トオルはキデの体に軽く触れた。
それを合図にキデはトオルのPから
口を離した。
今度もトオルにまたがりたいと思ったが、
今度はキデを制する手にそれまでとは違う
何らかのトオルの意思の強さを感じたので
キデは諦めてトオルを見た。
そうね、今度こそはトオルの番ね。
分かったわ、お譲りするわ。
トオルはキデが横たわるの待たずに
身を起こしていた。
キデが横たわると、そのまま間髪置かずに
トオルは自分のPを挿入してきた。
ずっと度重なる寸止めで
さすがのトオルも我慢の限界だったのか
トオルは最初から速めのピストン運動を行った。
「…もうイキそう…」
「…ええ、もうイッて」
そう言うとすぐにトオルは
自分のPをキデから引き抜いた。
そして、キデの腹部に射精した。
「おッ、すごい!!
ね、キデ、すごいよ、ちょっと見て♪」
「…何がそんなに凄いの?」
「いやね、キデの脇近くまで飛んだんだ!
こんなに遠くまで飛ばせたのって、
20代か30代以来だな♪」
「…あ、そ。良かったわね」
正直言うと、腹上に出されるのは
あまり好きではない。
ベタベタして不快だし、
直ぐに乾いて張り付きがちで
その後の始末に追われるのが嫌いだったのだ。
こうして書いて、後にこれを読んだトオルが
その後どんな反応をするのか見物だが。
慌てて拭き取ると、
2人はお湯を張った浴室へと向かった。
今度はキデがずっと悶々していた。
何だかお預けを食らわされた様な気分でいたのだ。
やっぱり、さっきFの後で、強引にまたぐべきだったか。
あと、5回ぐらいは楽しめたわね、時間さえあれば。
そんなキデの心中を見透かしたかのようにトオルは言った。
「オレはさっきので、
今後1か月は誰ともメイクラブせずにやっていけるな♪
もちろん、その間も一人ではするけどさ。
…でも、キデは明日の朝になったら、
もうすっかり性欲は回復してしまうんだろ?」
実際は、キデの性欲が回復したのはその夜で、
キデは一人で何度かしたのであった。
メイクラブの他に、2人でこうして湯船で
おしゃべりに耽るのも楽しみの一つで、
時間がたっぷりとあるときは何度も入浴したりした。
トオルは湯舟の中でずっとキデの腹を揉んでいた。
そうすることで彼は癒されるらしい。
キデがメンズのお仕事の話を
聞くのが好きだと知っていても
社員のように一応の就業規則、
就業時間の定めがない経営幹部のトオルは、
結果を求められる立場にあるので
四六時中、仕事に追われていて
キデとのせっかくのひと時に
そんな仕事のことなど思い出したくもないと
自分の仕事の話を余りしたがらない。
それをキデも十分に理解しているので、
今更聞こうともしなかった。
ただ、いつでもキデは
自分の健康、老後のことも考えて
仕事はほどほどにしてね、
実はトオルなしでも会社っていうものは
つつがなく回りますと言うのだが
仕事中毒のトオルには何を言っても
届くまいと既に諦めている。
一度、死ぬような痛い思いをしない限りは。
そして、それはすなわち、
2人の関係の死をも意味するのだが。
逆にトオルは、
キデの仕事の話を聞くのが好きなので
キデは自分の仕事の話をしてやったりした。
「それはそうと、ゆーや君には
『新歓特典』の話をしたの?」
「いえ、まだ何も話していないけど
そんなことなどすっかり忘れてしまっていたわ
それに彼には言うつもりもないし
だって、これまでの愛人とは
ちょっと違うタイプだもの
新歓特典なんて関係ないわ
どうして、そんなことを訊くの?」
「そりゃあ、いつだって新人さんは気になるよ
それに、Kidechan’s men 新歓特典で
キデは加入したてのメンズとベッタリの
蜜月を過ごすだろ?
そんでもって、それが過ぎると、
あっさりとして他の新しいメンズを探し出す。
キデは何てたって、新しもの好きだからね~」
「何、それ、妬いてるの?
じゃあ、新歓特典の期間が済んだら、
私がまたトオルのところへベッタリと
戻って来るかもって期待しているわけ?」
「そんな自信はないけど、今度の新人さんは
すごく経験豊富そうだし、
ユーモアのセンスもありそうだから、
いいメンバーになってくれそうだって思ってるよ」
「嫉妬とかないの?
いかにも優等生って感じの感想でつまらないわ」
「嫉妬はないよ。
自分では全くキデを満足させてあげられないからね
体力的にも時間的にもね」
最近トオルがキデによく言うのは、
「自分ではキデを満足させてあげられない」
であった。
to be continued…
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