おつかれさん
そうそう、昨夜の話の続きね
ゆーやと出会ったのは、先週の水曜の夜だったわ
こーきとお泊り逢瀬したのがその前の月曜の夜で
私はこーきの負の想念に取り憑かれちゃって
何をしてもずーっと得体の知れない憂鬱に襲われていたの
だけど、これは私の本来のテンションではないことだけは分かるのよ
でも、余りにこーきの負の想念のエネルギーが強すぎて
どーすることも出来やしないの
そんな鬱々とした気持ちを持て余しながら
こーきが職場に配達してくれたワインを飲んで
イチゴなんかをかじりつつ
サイトでヒマそうにしている、
30代の平成メンズを冷やかしてやれって思ったのよ
そんでもって、サイトを開いて見たら
既に、私宛にメールが来てたの
日頃、40代以上のメンズからのメールは無視して
開封さえもしない私なのだけど
メールの送り主は、30代とあるから、見るよね
そーしたら、メールにはこう書かれてあったの
「キデさん、はじめまして。
ゆーやと申します。
僕も既婚です。夫婦仲は最近微妙で…
日々のメッセージをやり取りしたり、
お互いが楽しく過ごせるパートナーが
見つかれば…と思いサイトに登録しました。
もしかしたら、似た境遇かもと思い…
まずはお友達から始められると嬉しいです」
読んでいて何か、違和感を感じてしまったのよ
もちろん、いい意味でね
だって、Kide’s dataによると、
Twitter慣れしてる30代以下のメンズって
得てして俳句のような短文のメールを送りがちなのね
もちろん、この後にまだまだ彼の文章が続くわけだけど
ここまでしっかりと長文のメールを寄越してくるのは
Kide’s dataによると、
40代後半からのメンズに多いのよ
既に自分の男としての性的な魅力に陰りを感じて
他のテクニックでそれを挽回しようとしてね
その違和感が面白いなぁって思ってしまって、
ついついこのゆーやというメンズに返事を送ってしまったのね
そーなの、私にとってワクワクは正義だと書いたことがあったけど
同じぐらい「違和感」にも注目するのよ、私は
だって、「美は乱調にあり、諧調は偽りなり」って言うじゃない?
安定して凡庸なのは退屈で大っ嫌いなの、私は
違和感の陰には、スリルが隠れてるってね
私の想像を絶するような、
未知なる世界が広がっていたりするものよ
だって、自分の価値観、想像力を越えて来るから
違和感って感じるものでしょ?
閑話休題
おほほ、脱線が過ぎたわね、ワイン飲みながら
これを書いているせいかしらん?
このゆーやのメールはこうして続いてたの
「キデさんは、どんな食べ物が好きですか?
僕は甘い物が好きで、特にチーズケーキに
ハマっています。
他にはイタリアンや和食が好きです!
仲良くなれたら美味しい物、
食べにいけるといいなって思います。
良ければ、メールから宜しくお願いします
お時間ある時にお返事頂けると嬉しいです!!」
って、まさか、本当にいい年した大人の男女が
しかも既婚者同士が、お手てつないで平和に
チーズケーキなんか食べに行くわけないでしょ?
…でもね、女性陣の警戒心を解くには
まさに巧妙な文言だわってすっかり感心してしまったのと
こーきショックで少し荒んでいた、その時の私には
このゆーやからのメールが妙に染みたのよ
あら、もうこんな時間
早く寝ないと、お肌に響いてしまうわ
この続きは、また明日ね
あ、それはそうと、
トオルはいつ私と逢瀬出来るの?
うふふ、このゆーやとメールのやり取りをしていると
トオルとサイトで出会って間もない頃、
夢中になってメールのやり取りをしていたことを思い出して
久々に二人が出会ったサイトに残されたメールを読み返してみたの
メールからトオルの真面目で誠実な性格は伝わって来たけど
…でも、メールの内容の面白さで言ったら、
やっぱりこのゆーやの右に出る者はいないって感じね
それにトオルってば、
時々読解がとんちんかんな時もあって
きっとこの人、学生時代は国語、
苦手科目だったに違いないわって
思わされることも実は多々あったりするけど
このゆーやの卓越した言葉のセンスは
ちょっとお目にかかったことはないわね、
私の人生でって思ったの
私は今でも村上龍から手書きのラブレターを貰ったなら
迷わず、昭和枯れすすきの夫など捨てて、
彼の元へと出奔しようと決めているけど
その村上龍に次ぐ、言葉のセンスだと思ったわ
私がこれまで出会って来たメンズの中でね
イケメンやメイクラブが優れたメンズなら
それなりに出会って来たけど
私を唸らせる、言葉のセンスの持ち主のメンズって
いそうで実はそんなにいなかったりするものよ
ホント、ワインのせいね、饒舌が過ぎたわ
こー言ってしまった後では、
さすがのトオルも返事を出しにくいとは思うけど
でもね、私にトドメを刺すような、
そんなとっておきの殺し文句で
返事をちょーだい
待ってるわ、またね
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