長い朝風呂を終えた後で、
やっぱりどうしてもキデは
なつみのことが気掛かりで
バスローブのまま、
化粧水をはたくのさえも、もどかしくて
なつみへ返信のメールを打った
「心痛の中、いろいろ、私のために調べていただき、
誠にありがとうございます
私としては、ごめんなさい、最低なご主人よりも、
あなたのことが心配でなりません
私の立場で申し上げるのもおかしいのですが、
あなた様の心痛の様がありありと伝わってきて
私としてもどうすればいいのか
分からなくなってきました
確かに拡散の件は、
ご主人本人に訊かなくてはならないのでしょうが
その場合は、私から直接ではなく、
弁護士等の代理人を通して行おうと思っております
私もあなた様のご主人とは金輪際、
連絡を取りたいとは思っておりませんので
ただただ、何であんな最低な男と
あんなことをしてしまったのだろうと
ごめんなさい、奥様であるあなたの前で
申し上げるべきではないのですが
でも正直な気持ちはそんなところです
22日に弁護士と相談する手筈になっておりますので
そこで自分の気持ちの整理と
今後の対処をどのようにするのか
考えたいと思っております
いずれにしても、あなた様のご主人とは
直接連絡するつもりがないことだけは確かです
よろしくお願い致します」
それから思いついたように、
キデはそのまま2通目のメールも入力した
「それから、私はあなた様の今回の行動を
悪かったとは決して思っておりません
むしろ、感謝しているぐらいです
既婚者だと教えてくれたこと、
知人に私のことを開示していたこと
私にとって大切な情報を教えてくださって
ありがとうございますと
今は大変な時期だとは思いますが
必要以上にご自分を責めないことを
願うばかりです」
一気に2通のメールを書き上げると
キデは炭酸水をグイっとあおった
今日はこれから仕事だから
もうルーティンのシャンパンはお預け
それからルームサービスで運ばれてあった
既に冷え切ったエッグベネディクトを
つまんで勢いよくかぶりつくと
半熟の黄身が
白いテーブルクロス、バスローブに
したたかに飛び散った
to be continued…
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