あたしにはセフレトライアル御用達のホテルがあるのだけど
あたしのために曲がりなりにも折角作業服を着てくれたレイジだったし
彼は180㎝近い長身のメンズだったから、
まずは彼に着衣のままでハグをされたいと思ったし
そ、あたしは長身のメンズにはハグをお願いするのだ
そして、そのハグをされているところを、
あの、あたしの実は密やかにお気に入りの鏡張りのホテルがあって
そこの部屋で壁一面に張り巡らされた鏡越しに
あたしが少女漫画のヒロインみたいに、
ま、それにはかなーり薹(とう)が立ちまくっておりますが
長身のメンズにハグされる姿をにんまりと眺めるのも悪くない
だけど!!
その鏡張りの部屋ってば、あたしの現夫とまさに職場不倫していたとき
主にあたしが好き好んで通ったホテルで
それからつい先日まではあたしとタツノスケ師範との
鏡プレイの常習の部屋でもあり
いつしか2人の愛の隠れ家的場所にもなってしまっていた
そんでもって、あたしとタツノスケ師範とが
致命的で壮絶な痴話喧嘩を繰り広げてしまって
完全にお別れすることになった
そーんな今では尽きぬ曰くアリアリのホテルの部屋だったりするのだ
あたしはそんな部屋へレイジを連れて行くのを一瞬躊躇したりもしたけど
だけど!!
第一、そのホテルに罪はないし、
(でもあたしとタツノスケ師範とが痴話喧嘩したときの
負のエネルギーはたぶんまだその辺に浮遊しているかも知れない、
だってわずか10日ぐらい前の話だから)
それに、あたしが鏡プレイ好きな性癖は今後も変わらないし
第一、鏡張りの部屋はそこしかなく、
だったらさっさとタツノスケ師範以外の気になるメンズを連れ込み、
事故物件ロンダリングならぬ、情事の部屋ロンダリングして
みそぎを一刻も早く落としてしまえばいいと思ったの
それにあの鏡張りの部屋はお風呂もかなり広いときた
うん、まさに愛すべき要素がたくさん詰め込まれた素敵なお部屋!
これをいつまでも避ける手はない!
あたしはそんなことを一人でぐーるぐーる先回りして考えては
結局、レイジに鏡張りの部屋を案内することにしたわけ
「ねぇ、レイジ、あなたって、ホント、何から何まで
例外中の例外のメンズねぇ…
だって、セフレトライアルでいきなりこの鏡張りの部屋を
案内することなんてないのよ、
ホントにここはあたしの相当のお気に入りのメンズしか連れて来ないのよ
それに、セフレトライアルのっけからお泊りだなんても
ちょっとこれまでには前例がないわ…って、
お役人みたいなこと言ってるけどさ」
「ふーん、そーなんだ」
レイジってば、始終淡々とした調子であたしの話を聞いてる
そ、彼はあたしの元・第2愛人のヒロシとどこか雰囲気が似ているわ
ヒロシも建設会社を幾つも経営しながらいつまでも現場に出て
肉体労働をするのが大好きな気さくなメンズであったし
始終感情が穏やかで乱れることなく鷹揚で
それだけに当時の口さがない他の愛人メンズからは密かにそんな彼のことを
「Kidechan’s men史上
(きでちゃんずめん;当時のあたしの愛人・セフレメンズ集団の呼び名)
一番凡庸で無個性な愛人」だと揶揄されていたものだったけど
でもね、彼がまるで父親なら、あたしはその彼のわんぱくな息子みたいな感じで
あたしはそんなヒロシの前では自分らしく伸び伸びといられたものよ
そ、レイジはそんなヒロシを彷彿させる穏やかな雰囲気を持っていたの
さて、その鏡張りの部屋があるホテルだけど、
実はホテル街の外れにひっそりと建っているの
ほぼ毎日のよーに日参していたあたしとタツノスケ師範だったけど
彼はいつしかそのホテルへのショートカットを見つけると
サクッと連れて行ってくれたわ
だけど!!
車の運転が大嫌いで、そんなショートカットなど
全く気にも留めていなかったものだから
いざ、レイジを道案内しよーにも見覚えのある景色と道がつながらず
あちらでもないこちらでもないとぐーるぐーると迷い込んだりしたわ
だけど!!
幸い、レイジってばこの近所で住んでいたこともあって
若干土地勘があったみたいで、最後は事なきを得てホテルに辿り着いたの
そんでもって、「今後はもーあたしからは案内しないから
ちゃーんと道を覚えていてね」と伝えたのよ
あら、あたしってば、セフレトライアルをまだ行ってもいやしないのに
既に次回もこーしてこのホテルで逢瀬する前提で話をしてしまっているわ
そ、不思議なことに、あたしもレイジもトライアルする前から
お互いに波長が合うというのか、呼吸が合うと言うのか、
そんな不思議な居心地の良さを感じて、何かしら
関係は恐らく細ーく長ーく続くだろーとも感じてもいたのよ…
to be continued…
コメント