「…実は、僕はね、芸能事務所の代表を務めているんだ」
「あら…そーだったんですね」
平素なら、サイトで出会ったばかりの、しかも初対面の相手に
決して自分の本当の職業を明かすことのないショウだったらしーけど
それでもあたしにはこーして本当のことを話してくれたのは
全然自分を取り繕わない、そんなあたしに感化されてのことだとも
後で教えてくれたわ
うふふ、ありがとう、ショウ♡
それにしても!!
ショウといい、マコトといい、
サイトで出会うメンズの芸能関係業界に就いている率の高さ!
さっすが、東京ね!
到底、地元ではこんなメンズにはお目にかかれやしないわ!
そーなれば、元々、メンズのお仕事の話を聞くのが大好きなあたし、
タバコ休憩をしたいと申し出たショウが、
車を路肩に停車したことを皮切りに
ここぞとばかりに、ショウに
「お仕事の話を聞かせて」とねだったの
ショウは、所属タレント、モデルの名前は
決して明かしてはくれなかったけど
それでも話してくれた、いわゆる業界話は、
かつてマコトから聞かされた話と幾つか共通点があったわ
「芸能界とは一見華やかそーには見えるけど、
それはタレントやモデル等の人たちだけであって
彼らを支える我々裏方はハードワークを強いられる
実に地味な存在なんだよ
しかも、意外に思われるかもしれないけど、
芸能界は村社会のところがあって、
とても閉鎖的だったりするんだ
まだ昭和的な要素が存分に残る業界でね、
我々裏方の仕事と言えば、
プロデューサーらを夜な夜な接待をして
そこでいかに所属タレントらを売り込み、
仕事を確保してくるかだったりするんだよ
ブラックもブラックな職場だから、本当に好きじゃないと
ここの仕事は勤まらないと思ってる
僕は、ミーハーな性格だから、
たまたまこの業界の水が合っていると思っているんだけどね…」
そ、彼はハイソな東京っ子らしく、
幼稚園受験を経て都内でも名門の進学校に通っていたものの
そこで彼は紆余曲折あってドロップアウトしたよーな気持ちで過ごした後
ひょんなことから芸能界業界に飛び込むことになったと教えてくれたわ
そんでもって、今では彼も成功していて、
初めて最近、既に多種多様な業界で名を馳せる
学生時代のクラスメートらと
何の屈託もなく再会することが出来たんだとも話してくれたの
うふふ、素敵!
いつだってどこでだって誰であろーとも、
自分の仕事の話を誇りを持って楽しそーに話してくれる、
メンズの話はこちらも聞いていて楽しいし
感動さえしてしまったりするし、その分、
彼らがもっと男前に見えて来てしまったりするものよ
あ、ちなみにあたしは労働なんて大嫌いで、
常にいかにラクして働くか模索することを仕事と課して
働いているよーな、そんな物ぐさな女ですけどねw
「だからさ、キデさんみたいに、
こうして女らしい服装で会いに来てくれると
こちらもとてもテンションが上がったりするものだよ
実際、そういう女性を間近で見かける機会があったら
野郎連中はわざわざ見に行って、
『おぉ!」って色めきだったりするぐらいだからねw
だって、僕の業界女性は皆、
激務過ぎて自分の身支度に構える程の余裕がなくなって
ノーメイク、髪はさすがにボサボサとは言わないけど
それでも基本、ジーンズとシャツとかだったりするからね」
へぇ…そー言うものなの?
一通りの東京観光はとうに済ませて卒業していたあたしは、
「そーそ、あたしが求めていた、物見遊山の東京ってば、
決して地元ではお目にかからない、まさにこんな、
東京メンズとの交流でしょ?」
って、人知れず興奮していたわね
結局、ショウとはそのまましばらくお話しをした後、
時刻も23時を過ぎていたから、
今夜は一旦ここでお別れすることにしたの
いよいよ明日からあたしも仕事が始まるのだけど、
それを終えた夕方に再会しましょと約束をしてね
折角、会えたのだからセックスへと持ち込もーともしない
そんな余裕のある、ガッついていない姿に
あたしはますます好感を持ったわ
だから、ショウがあたしをホテルへと送り届けてくれた後も
何だか名残惜しくて、
あたしたちはだらだらとKakaoでやり取りを続けたの
気が付けば、25時を回っていたわ
だから、慌てておいとまの挨拶をしてやり取りを終えたの
明日からいよいよ、あたしも一日缶詰で
研修会議に参加しなくてはならなくて
それに先立って、職場が用意してくれたビジネスホテルに移動を
出勤前に済ませておかなくてはならなかったのよ
それと言うのも、トランクケースの類を一切使用しないあたしは、
滞在予定のホテルへ段ボール箱に宿泊荷物を詰めて
事前に送っておくのだけど
今回は約1週間の東京滞在予定ということで、
120㎝の段ボール箱2箱を送りつけていたのね
でも、買い物とかで荷物がまた急激に増えたから箱は3箱に増えて
その箱に広げっ放しの荷物を慌てて詰め込まなくてはならなかったのよ
そんでもって、その段ボール箱3箱と共に
タクシーで会社手配のビジネスホテルへと移動して保管して貰うの
今夜はさすがに遅いから、
明日の朝早めに起きてその準備をしよーと思ったのよ
あたしは、再びシルクサテンのスリップドレスに着替えると
最後の朝風呂を明朝楽しむからってシャワーも浴びずに、
そのままベッドに潜り込むと直ぐに寝入ってしまったわ
おぉ、だけど!!
あたしも、読者の皆さんも忘れてしまっていない?
そ、このトーキョー・ラヴァーズの真打、マコトの存在!w
ぐっすりと熟睡するあたしのベッドの枕元で
立て続けにLINEの受信を知らせる通知が不気味に鳴っていたのよ
おぉ、それは草木も眠る、まさに丑三つ時だったわね…
to be continued…
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