下にいるトオルを慮ってしばらくした後、
キデはトオルから降りた。
キデがトオルの隣で横たわると
またもやトオルはキデをぎゅっと抱きしめて
もはやセットであるキスをキデにしてきた。
キデは元々はアクメを
全身全霊で感じ受け止めるタイプで
それだけにその後は30分以上ぐったりとして
身動きが取れなくなるのであった。
その後、2人のEDである夫との20年にも渡る
禁欲生活ですっかり中イキによる
アクメの感覚を失ったキデは
2か月間の試行錯誤を経て
今の第2愛人、ヒロシとはアクメの寸前まで
かつての第3愛人、ツヨシとのメイクラブで
ようやくアクメの感覚を取り戻した。
その後は水を得た魚のように
自由気ままにメンズとの逢瀬を謳歌するキデは
いちいちアクメを全身全霊で感じて
その都度ぐったりとしていては
効率が悪いとキデの肉体も判断したのか
それは進化と呼べるのかどうか分からないが
今では恐らく男性並みに冷静な自分へと
回復するのが早くなっていた。
しかし、それをもってしても、
今のキデの回復力の早さには目を見張るものがあった。
つい数分前までそのアクメを噛みしめていたかと思うと
トオルに抱きしめられてキスを受けているうちに
もう既にトオルを欲していたのだから。
トオルが気紛れにキデから唇を離したかと思うと
キデをじっと見つめて言った。
「キデはキレイだね」
トオルもこの頃ではすっかりキデとの
メイクラブの流儀を彼なりに作り出したらしく
そんな彼のベッドの中での口癖は
次のようなものであった。
「オレはいつイクべきなのか、
いつでもタイミングを計っているんだ
一旦イッてしまうともう後がないからね」
トオルはまたキデを強く抱きしめるとキスをした。
キスをしながら、キデは他のメンズには
これまで決してしてこなかった
トオルの股間へとそろそろと手を伸ばすと
少し小さくなったトオルのPを握りしめた。
少しでも早くまた彼のPに大きくなって貰って
上でも下でもキデは自分の口で咥えたくなったのだ。
ぎゅっと強く握りしめただけで
先ほどの余韻もあるのか、
すぐにトオルのPは反応して固くなった。
そんなキデの手の動きに合わせるかのように
トオルもキデのMに指先だけ浅く入れると
どこか上の空のような愛撫をした。
キスをしながらキデのMに触れて来るとは
これまでのトオルにしてみれば
実に珍しいことだった。
感化されやすい傾向のあるトオルのことだから
珍しくトオルのPを握ってきたキデを
単純に真似ただけだろう。
実際、キデはブログで
「陽キャラ VS 陰キャラの男」の記事で
書いたことがあるように
トオルのように、
これまでに女性に事欠かなかった
いわゆる陽キャラのメンズは、
自分の挿入までの場つなぎ的な愛撫をしがちで、
まさに今のトオルも愛撫というよりかは
キデのMの濡れ具合、
状態を探っているような感じであった。
トオルはキスを止めてキデから顔を離すと
またもや無言でキデを見つめた。
相も変わらず、「ベッドでの報連相」を
守る気もない男である。
でもそんなトオルに対してだけは、
キデの乏しい母性本能でもくすぐられるのか
ついつい可愛いと受け入れてしまうのだから
世話がない。
そうか、他の愛人やセフレとキデの間には
見えないラインがあって互いに
そこを踏み越えないという紳士協定のような
不文律があって守られている。
その不文律こそが、一種の紳士同盟である
Kidechan’s men の秩序が保たれている
ゆえんなのだが、このトオルだけは
いつでも無邪気にそれを無視して
キデの懐へ飛び込んでくるところがあった。
そうして何の遠慮なく
散々キデを貪ったかと思うと
プイっとキデを置き去りにして
自分も他の愛人らと同じように
キデを隔てるラインの向こう側に
引っ込んでしまうのだ。
それをまた無自覚に行っているのが
キデからしてみれば実に憎たらしくもあった。
閑話休題。
気が付けば、トオルはキス以外でキデに
ほとんど触れることなく
ずっとキデにFばかりを求めていた。
でもそれに対して不公平だとか
欲求不満だとか全く思わずに
むしろ無駄がなく、すっきりと合理的で
今の二人には相応しいメイクラブの形だと
キデは満足さえしていた。
トオルには下手に下手な愛撫などしてもらって
折角勃起した彼のPを台無しにしたくないという
そこには、キデの切実な願いがあった。
「要望10か条」を引っ提げて
時にはメンズを容赦なくぶった斬り、
泣く子も黙るキデ様をこうまで大人しく
手懐けてしまう男、トオルは恐るべしである。
閑話休題。
キデはトオルに求められると、
日頃のキデからは決して考えられない、
実にいそいそとした感じで
トオルの半立ちしたPを上の口でパクっと咥えた。
このブログで散々、
「トオルは文句ばっかり言いながらも、
図々しくFを求めて来る!!」
と書いて来たせいもあるのか、
今回はずっと無言を貫いている。
気持ちいいのか、悪いのか、
擦る速度はこれでいいのか、遅いのか
もっと吸引を強くされたいのか、どうなのか
いつでもトオルは無言で
Fをするキデを怖いぐらいの真顔で
凝視するだけなので
結局気おくれしてしまって、
何も訊けないでいるキデなのであった。
to be continued…
コメント