「結局のところ、
トオルがどう感じていようと
関係ないところがあるわ」
キデはトオルのPを口に含んで
上下にこすりながらそう思った。
トオルに求められたからするのではなくて
自分がただそうしたいからしているだけ
たとえトオルから求められなかったとしても
きっと私は自ら求めてしたかも知れない
そりゃあ、トオルがそれで
気持ちよくなってくれたら
いいのでしょうけど
でも、本当はもうそんなことなどどうでもいいの
ただただ、私がトオルが愛おしくて
トオルのPさえも愛おしくなってきて
どうしてもしたくなってきて、
そう、私はまるで私自身のために
Fをしているようなものなのよ
男への情愛と性愛とが入り混じって
こうして高まった時は
うふふ、安倍定が愛人の男の
Pを切断して所持したという気持ち
まんざら分からないでもないわ
尤も、一旦切断して生命を失ってしまえば
私にとっては単なる肉きれで
何の意味もなさないから
さすがにそこまで猟奇的なことをしたいとは
思わないけど
でも、自分を突き動かす、
愛する男への情愛や性愛が極まると
その象徴として彼のPがとりわけ
愛おしくて仕方なくなるというのは
とてもよく分かるような気がするの
食べてしまいたいぐらい可愛くて愛おしい
トオルのPを口に含みながら
私は彼だけの皮膚感や肉感、味さえも楽しんでる
彼のPを口に含みつつ
彼のPと会話をしているようなものね
だって何も言わないトオルに代わって
彼のPが雄弁に私の愛撫がどうなのか
語ってくれるもの
キデはトオルの感触を楽しむかのように舌を
彼のPに沿って這わせたかと思うと亀頭を吸った。
すぐさまトオルのPははちきれんばかりになった。
トオルは声にならないような
呻きを上げたかと思うと
キデの前髪をいじるのを止めて、
キデの腕に優しく触れた。
それは制止せよとのトオルの合図で、
キデとトオルは無言で見つめ合うと
今度はキデは有無を言わせずに
トオルの上にまたがった。
今度だって私の番なの
まだまだトオルには
我慢してもらわなきゃダメだわ
と言わんばかりに。
わずか数分前にアクメを迎えたなどと
思えぬような貪欲さであった。
性欲は強めだが、
道具やプレイなどは基本的に嫌いで
実はあっさりとしたメイクラブを好み、
一度アクメを感じてしまえば
後はピロートークなどを楽しんで
ゆるゆると2回戦を行うのが常の、
どこか牧歌的なメイクラブを楽しむ
日頃のキデからしてみれば
この貪欲さ、この性急さは
実にあり得ないことだった。
いくらしても貪っても
ますますこの男に飢える一方なの
すればするほど欲しくなるって
一体どういうことなのかしら?
私はトオルに飢えている
ずっと飢えている
キデは上下に自分が動くと
少し頼りないトオルのPが
抜け落ちてしまいそうで
いつでも小さく上下運動をした。
元々激しい高速のピストン運動を
苦手とするキデでもあったので
それぐらいで調子良かった。
それよりも、
自分のGスポットにこすりつけるかのように
トオルのPを締めつつ、
前後に動くのが好きだった。
今ではトオルもそんなキデの
嗜好を熟知しているのか
自分の上で好き勝手に動くキデを
微動だにせず凝視して見守っていた。
さすがにほぼ連続2回の騎乗位だけあって
そこまでアクメの波は押し寄せているのだが
まだまだ弱かった。
「…お願い、ねぇ、吸って…」
トオルはすぐさま上半身を起こすと
またもや左側の乳首だけを吸い続けた。
キデはそんなトオルを愛おし気に
彼の髪をくしゃくしゃと触ると、
彼の頭を胸に押し付けた。
「イクッ!!」
じきにアクメの波が到来して、
キデはトオルの上でのけぞった。
それをサインとするかのように、
少し遅れて余韻を残しつつ、
トオルはキデの胸から離れた。
キデがアクメを迎えた後、
それに気付かずいつまでもぐずぐずと
キデの乳首を吸い続けると
キデに叱られるのだ。
キデにとって乳首は最大の性感帯だけに
一旦アクメを迎えた後でも愛撫をすると
ぞわっと鳥肌が立つような不快感、
くすぐったさに襲われてしまい、
せっかくのアクメも台無しにしてしまう。
だからと言って、慌てて乳首から離れてもダメ、
少し余韻を残しつつ絶妙なタイミングで
離れないとダメらしい。
正直、トオルはまだ
そのタイミングを計りかねていた。
アクメの大きな波が通り過ぎた後で、
キデは少し冷静さを取り戻すと、
そこで既に2度も取り残されている
トオルのことを思い遣ったのか、
キデは身をかがめると、
実はトオルにとっても性感帯である、
彼の乳首を舐めた。
しばらくぶりに彼の乳首を見たのだが、
前回の逢瀬ではまだあんなに黒々と茂っていた
彼の乳輪周りの毛はどこかまだらになっていて
キデから見て右側の毛に至っては、
きらりと光る、長い一筋の白髪さえあった。
キデは思わず見てはいけないものを
見たような気がして
咄嗟にそれから目を逸らした。
そんなことに気付かないトオルは、
キデの両手を取り、上半身を起こすと、
キデをいたずら気な目で見た。
何かを思いついたらしかった。
「…何なの?」
それには答えず、トオルは体を動かすと
キデと自分との上下の位置を交替しようと
キデを押し倒した。
「ちょ、ちょっとッ!」
今度こそようやくトオルの
ターンが始まるのである。
to be continued…
コメント