第4愛人のゆーやからKakaoで
メッセージが来たのは午後5時過ぎだった。
「今は執筆してる頃かな…
久々にトオル兄さんとの逢瀬で、
今日は満たされた感じする」
第3愛人、トオルと逢瀬に出かけるために
入れたコンタクトが既に水分を失い、
瞳に張り付くので大変不快だった。
日曜で珍しく家にいる夫に、時刻を訊いて
今が夕方の5時であることをキデは知った。
トオルとの逢瀬を終えて別れたのが
お昼の12時半過ぎぐらい
それから帰宅して、
日頃小食でシャンパンしか飲まない
キデにしては珍しく
夫が買って用意してくれていた細巻きを
パクついて食べた。
それから缶ビールを半分飲んだところで
猛烈な睡魔に襲われ
ふらふらと倒れ込むように
ベッドで横たわると、
そのまま眠り込んでしまったのだ。
ショートスリーパーのキデはいつでも
睡眠時間は4時間でそれ以上は眠れない。
昼寝だなんて、もってのほかで、
どんなに眠気を感じても寝付けないのが常なのだが
どうやら今回はそれを全て飛び越えて
キデ的にはあり得ない、
4時間近くも昼寝をしてしまったらしい。
しまったと、キデは舌打ちをした。
私としたことが、こんなにも寝てしまうだなんて。
20分程度仮眠したら、明日月曜の昼に上げる
ブログの記事を完成させて
火曜の分の記事の執筆にさっさと取り掛かろうと
思っていたのに。
アイツのせいね…
慌ただしく午前10時前に現れては
またもや慌ただしく正午過ぎには去って行った
トオルのことを思い出すと、キデは
さっきまで何度も咥えていた
トオルのPの感触を思い出し
自分の膣がきゅっと締まるのを感じた。
それからトオルの顔や声、
抱擁したときのトオルの肉の感触を
まざまざと思い出し、
とろけるような感覚を楽しむと
トオルを軽く恨む気持ちはありながらも
やはり愛おしいと思うのだった。
前回の「情が深すぎる男」では、
トオルの情念が憑依して、
しんどい体験をしたと書いたが
書くことによって、
キデの中で自衛のための確固とした
バリヤーが築かれたのか
今回の逢瀬では
トオルの情念が憑依することはなかった。
今回は第一にキデが前回よりも激しく
トオルを求めていたせいもあるかも知れぬ。
前回の逢瀬では受け身だとしたら、
今回は積極的な攻めでトオルを求めたし。
それこそ、トオルの想念を
キャッチしてしまったのだろうか、
昨晩、珍しく何度もトオルに
挿入される光景がよぎって
トオルに欲情してしまっていたのだ。
実際、トオルは前の晩に私と
どうしてもメイクラブをしたいと
そんな強い衝動にかられたとも言っていたし。
いずれにしても、私のことを
激しく消耗させる男
であるには違いないわ。
だから、そうね、私は自分で自分を
リカバリーするために
日頃の自分からは考えられないような
睡眠時間の長さと食欲に突き動かされたのよ。
あぁ、アイツもどこかでお昼を済ませたのかしらん?
アイツも私との逢瀬の後、
激しい空腹感に襲われると言ってたし
まだ寝たりないような気がする。
でも、もうこのまま寝つけやしないだろう。
ふらふらと立ち
キデはゆーやに返信を打つべく、スマホを持って
リビングのテーブルへと向かった。
彼への返信は常に長くなるので、
テーブルに置いてある、スマホ用のキーボードで
入力するのだ。
ゆーやはキデより10歳年下の、
30代の平成メンズの愛人なのだが
平成メンズにふさわしくなく、
メール魔のキデをも圧倒させるような、
長文のメッセージをしばしば
キデからの返信を待たずに何通も
送り付けて来る男で
しかもそのメッセージ1通1通が
キデにはない感性と言葉のチョイスで
いつでもキデを唸らせてしまう。
だから、キデも執筆に追われている時以外は
積極的に楽しんで彼へと返事をするのだ。
実際、トオルとの逢瀬を終えた直後、
キデはゆーやにKakaoでメッセージを送っていた。
なぜなら、ゆーやはキデがトオルと午前中に
久々の逢瀬をすることを既に知っていて
そのせいで、いつも昼に上げている、
ブログの記事のアップする時刻が
遅れるだろうことを
ゆーやに予告していたからだ。
ゆーやはキデの愛人でもあり、
キデのブログの熱心な読者でもあった。
今か今かと記事の最新作を待っているのが
痛いほど分かっていたので
キデは帰宅するやいなや、
取るものもとりあえず、記事をアップしたのだ。
それから、トオルとの逢瀬の邪魔をしまいと
敢えて沈黙を守ってくれているだろう、
ゆーやに逢瀬の終わりを告げなくてはと
Kakaoでメッセージを送っていたのだ。
早速、饒舌なゆーやと
メッセージのやり取りを数通した後
キデからの音沙汰がぷつっと途絶えたのだから、
もやもやしてゆーやが
冒頭のようなメッセージを
送って来たこともキデは理解していた。
「帰宅後、物凄くぐったりとして
猛烈な睡魔に襲われて
ショートスリーパーの私にしては珍しく
今まで実に4時間近くも
ぶっ通しで昼寝してたの
今回のトオルとのメイクラブをも
どこかで書いてやろうと思っているけど
自分で言うのもアレだけど、
渡辺淳一の情愛小説なみに
エロかったような気がする
私も別の女になって彼を求めたと言うか
ホント、トオルって一体何なのって感じよw
本人は相変わらずのイカレポンチぶりなのに
何だか、可愛さ余って小憎らしいわw
これから、明日の昼の分を執筆するわ
いいえ、今から忘れないうちに、
トオルとの逢瀬を記録しておく」
それからほどなくして、ゆーやから返信があった。
「体力、精神まで持ってかれる感じなんかな
念に憑依されるの避けてもそこまで行くのって…
やっぱりトオル兄さんは偉大だな!!
兄さんの話、待ってるよ
キデさんのことを知る手がかりが
そこにあるかもしれんし、
そこまでキデさんを狂わせるなんて
本当に凄い…
でも、明日には性欲回復してるんよね
それも、キデさんの魅力やわ笑
記録の邪魔にならないように…またね」
to be continued…
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