気を取り直して、
キデは先日なつみから送られてきた
ラインのスクショを見た
カジモト:
すごかった
スタイル良くて、美人で、激しかった
気付いてなかったんか!
知人:会えたんだ
カジモト:
3時間頑張りました!
上に乗っていい?って訊かれて
顔面騎乗でクンニしてました
知人:元気ですねっ笑
カジモト:
やっぱりスタイルいいと興奮しますな
サトシの頑張りで、また逢いたいって
いってもらえました!
確かに、これはなつみの創作かも知れない、と
静かにキデは思った
確かに実際と微妙に違った点がいくつかあるからだ
第一、正味3時間もセックスはしていない
それから、キデはカジモトのことをサトシと
一度も呼んだことがなければ
そもそも「サトシ」という名前は
なつみによるとカジモトの本名でもなく
以前の浮気相手に使った名前だと言うならば
カジモトが自分の知人にわざわざ「サトシ」と
名乗る筈もない
それから、最初になつみのメールにもあったように、
そもそもキデはカジモトに
「今後も頑張り次第で会ってあげる」
などとは一言も言っていやしないのだ
それから、これがなつみの創作だという目で見ると
確かにラインでの言葉遣いも
どこか女性っぽさが残っているような気さえしてきた
男同士のやり取りならば
もっと乱暴な言葉遣いだって出来たはずだ
それに、なつみはカジモトとキデが
待ち合わせの場所のやり取りをするスクショを
知人にラインで送っただけだと言っていたのに
このラインのスクショは、
キデとカジモトが会った後の感想ではないか!
全てが矛盾してる!
そして最大に疑わしいのは、左側の知人とされる者の
アイコンが巧みに隠されているところだ
やはり、このなつみという女性は、
夫婦喧嘩でも散々夫にしてきたように
相手にカマをかけるのが得意らしい
キデにもこうして自作自演の証拠でカマをかけて
何かキデにとって不利な、新しい情報を
引き出そうとしたのかも知れぬ
しかし、それがキデには通じなかったということか
なつみがサイトを退会してしまった、今となっては
もはや為す術もなく、全ては憶測の域を出ないのだが
でも、もう、どうでもいいとキデは思った
今回の一連の騒動に対して、全くの静かな気持ちで
恐れも恨みも嫌悪も哀れみ…も
全く何の感情も沸き起こって来ないからだ
ただ単に、過去の出来事として
キデの中でニュートラルに存在しているだけである
もう、既に私の中で消化されて終わってしまったこと
それを確認して完全に終えてしまうためにも
今回のカジモト騒動を総括するのよ
自分の素直な気持ち
★メンズの奥方から初めてメールを貰ったので、怖かった <否定>
★自分の好みでない、キモメンと無理して寝ると毎回ロクなことがない
(つまり、それは単に容姿が自分の好みかどうかの他に
こういう最悪な事態さえも巻き起こすという、第6感というのも働いて
キモメンと私の中で判定されるせいかも知れない
だとしたら、その自分の中の第6感、イヤという感情をもっと大事に
すべきかも)すなわち、学び <肯定>
★浮気される妻の悲痛な気持ちは分かった <肯定>
★サイトでのステータス「独身」は疑ってかかれ! <肯定>
★ハメ撮り疑惑は未解決 <否定>
★私の写真も完全に削除されたかは謎 <否定>
★出会い系サイトの恐ろしさを改めて知った <肯定>
★今後、サイト経由で新規のセフレトライアルを実施しない
(だからといって、それに代わる、新しい機会を見出せたわけではない
何人もセフレや愛人が控えていたとしても、現実問題、
なかなかこちらの希望通りには会えない
それに対して、自分の強すぎる性欲をどのように解決するのか
まだ何の解決策も見出せてはいない) <否定>
★転んでもただでは起きぬ、の精神で今回の騒動を
ブログで公開することができ、それが私の予想に反して
これまでになく、女性からの反響が大きかった(なぜ?)<肯定>
★その分、男性からの反応は芳しくなく、
一番最初にフォロワーになってくれた
男性から解除されてしまった <否定>
ま、今思いつくことと言えば、これぐらいだろうか
結果的に肯定も否定も同数の5件
キデの今現在のニュートラルな心情を物語っているようだ
「デートクラブを作ってしまえば?」
奇遇にも、愛人四天王のメンズAの教祖様と、
メンズBのヒロシがキデに言った言葉である
経営者でもある彼ら二人はそれぞれキデに、
次のように言ったのだ
「しばしば40代女性が性的に飢えていて
でも色んな重圧からそれを発散できる場所がない
キデならその気持ちが痛いほどよく分かるだろう?
実際、オレもよく相談として聞かされる話だよ
それに、その40代女性を待つ、
30代をはじめとした男性のニーズも実はとても多い
40代以降の女性は、自分で加齢だと諦めてしまっているけど
実は物凄い色気を秘めてる、実に勿体ない話さ
どうだろう、キデが自分の実体験も踏まえて
彼女たちのためにもデートクラブを作ってみたら?」
それに対して、キデは「面倒くさい」の一言で
片付けてしまったのだが
それから、後で知ったことなのだが、
なつみは退会して3日後の早朝と
7日後の深夜に
どうやら一瞬だけサイトに復活をすると
キデのプロフに足跡を残していた
何のメッセージも残さずに
その行動もキデの中では想定内だったので
とりわけ驚きもしなかったのだが
そのうち、自分の想いが溢れて
堪えきれなくなると、また戻って来るわね
その時はじっくりと聞いてあげましょう
もはや、私たちは腐れ縁の様相を呈しているのだから
だから、まだしばらくはこうして
サイトを退会せずに私のプロフを残しておくわ
そうつぶやくと、キデは静かにノートPCを閉じた
the end
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