おつかれさん
そうそう、昨夜の話の続きね
そうして、ユーキから無視されて
2週間以上経った頃の話だったわ
私は、連日、スパークリングワインの
ハーフボトルを1.5本ずつ空けていたから
たちまちに家のストックはなくなって
そんでもって、自宅の近所中の酒屋、
スーパーでは既に買い占めてしまっていたし
お店を通じてのお取り寄せは時間がかかる
飲みたいときに間に合わないと
ネットで思い切って1ダース注文することにしたのよ
そーしたら、そのワインを何と、
あのユーキが配達してきたの!
しかも、私はその日、少し体調が優れなくて
化粧することさえも煩わしくて
ノーメイクで出勤していたのよ
どーして、こんな時に限って!
うろたえて、すっぴんを隠すためのマスクを探すものの
こんな時に限って、全然見つからない!
しかも、モロにワインの箱って分かるし!
今更だけど、職場にワインを1ダース頼む女って
呆れられたかも!
(性欲強いことは知られても何とも思わないくせにw)
いくらハーフボトルだと言え、
1ダースもあるから、重いだろうに!
あー、何てこと!!
短時間に色んな思いが去来して動揺しながらも
覚悟を決めて、マスクなしのすっぴんで荷物を受け取りに行ったの
すっぴんのせいで、いつもの自信を持てずにいた私は
去勢されたオス犬のように、すっかりオドオドとして
伏し目がちでユーキの前に出たのよ
彼と目を合わせられない
ワインを受け取った後、受領書にサインするも
やはりこんな時に限って、
ボールペンのインクも出ない!
「…ごめんなさい、きちんとサイン出来なかったけど、
それでもいいですか?」
「あ、いいです」
「それから、ライン見てね、大分前に送ったままだけど」
「…今、そんなことを言って、大丈夫ですか?」
「大丈夫です、とにかくラインね、ライン!」
そーして、ユーキは立ち去った
それから、その夜にユーキから久々にラインが入って来た
律儀なのか、そーでないのか、よく分からないヤツ!
「ねーさん奥に旦那さんおるのにあれはやばいっす笑」
「大丈夫よ、耳も遠いからw
仕事、終わったの、おつかれさん」
「だってさ、ラインだって、あの場でああ言わないと
見てくれなかったでしょ?w
でも、分かったよ、ユーキの心臓に悪いのなら、
今後は対面では一切言わないよ」
「まぁ返してなかったんはごめんなさい」
「失礼なこと訊くんですけど、
今日ってメイクしてたの?」
「う、痛いとこつくね、気付いてた?
今日はノーメイクだったのよ
ユーキが配達するの分かってたら、
ばっちりメイクしてたのにって
ちょうど愛人にも愚痴ってたのよ(笑)」
「気付いたよ笑
でもやっぱり47には見えない!って言いたかった」
後で知ったことなのだが、ユーキはやはり、
客である私と関係を持って、こじらせたりなどして
気まずくなるのがどうしても怖くて
私からのラインを急に無視するようになったらしい
(でもそちらの方が、もっと気まずくなるとは
思わなかったのだろうか?)
そして、ユーキ自身も
私宛のワインの荷物を配達するのは
かなり気まずく、憂鬱だったらしい
荷物の伝票を見て、私宛と分かるや否や
大きくため息をついたりなんかして
そんな中、私がいつもと変わらない調子で
ライン見てねって言ってくれたから
そのとおりにして返事を寄越して来たのだ
もしも、私がそこで彼に愛想を尽かして
冷たく対応していたら
それはそれで彼の望む状態で
そのまま以前のビジネスライクな関係に
戻っただろうとも言った
そこまで警戒するユーキに私は
これまで敢えて言わなかった
キデ’s men の存在を明かした
今では入れ替わり立ち替わりで
メンバーもかなり減ってしまったが
愛人が3人、セフレが1人いると
これを聞いて、深みにはまることなく
カジュアルな関係を楽しめそうだと
安心するメンズもいれば
逆に独占欲が強いとか保守的なメンズは
嫌悪感を示しがち
いわば、メンズの、柔軟さを測る、
一種の、試金石
ユーキは前者で、これを聞いて
ひとまず安心してくれたようだった
おまけに、こんなラインまで寄越して来た
「たのしいじんせいでうらやましいですな笑」
そして、翌週の月曜の夜に逢瀬しようと
約束をした
あら、もうこんな時間
早く寝ないと、お肌に響いてしまうわ
この続きは、また明日ね
あ、それはそうと、
トオルはいつ私と逢瀬出来るの?
え、キデ’s men の愛人枠に
一時は5人ものメンズがいて
キデ’s ゴレンジャーとか言って
それぞれのテーマカラーまで決めて
ワイワイと騒いでいたあの頃が懐かしいな、ですって?
そーねぇ、そんな頃もあったわねw
心配しなくても、そのうちまた新規メンバーを
投入するわよw
私を楽しませてくれる、そんな個性的なメンズがいいわ
だから、トオルも何か楽しい返事をちょうだい
待ってるわ、またね
コメント