おつかれさん
そうそう、昨夜の話の続きね
ユーキは、高校卒業後、
東京にある専門学校に進学し
そこで奥さんとなる女性と出会って
出来婚でもなかったにも拘わらず
若干20歳で結婚をした
それからすぐに2人の娘に恵まれた
そして、奥さんの郷里である、
この地に一緒についてやって来た
(そう、ユーキは他県出身なのね)
そんでもって、奥さんの実家近くに家まで建てた
みんなね、そこまでは幸せなのよ
ここから、男たちはますます仕事に没頭するようになる
そりゃそーでしょ、念願のマイホームのローンが
彼らの肩にのしかかっているわけだから
しかも、ちょうど脂の乗った時期で、仕事が面白い!
そーなると、せっかくのマイホームにも
必然的に近寄らなくなるのよ
たまにの貴重な家族団らんの時間でも仕事のことで上の空
そーなると、もー、家庭崩壊まっしぐらよ
いつでもおうちにぽつねんと取り残された奥さんは
ワンオペ育児、家事でてんてこ舞い
当然、女として身繕いする余裕なんてなし
それを言い訳にして、男たちは浮気三昧
夫のユーキに刺激を受けて
自分も少しでも生活費を捻出しようと
乳飲み子を自分の親に託して
同じ宅配会社の違う事務所でパートを始めた奥さんは
たちまち、パート先の上司の社員とねんごろに
分かるわー、その気持ち
奥さんだって、自分のしんどい家庭での立場の話を
うん、分かるよーって優しく相槌なぞ打たれて
聞いてもらいたいものね
そんでもって、女としてもついでにチヤホヤされたい
だけど!!
自分の数々の浮気は棚に上げて
日頃はあんなに奥さんのことを
ほったらかしくせに
いざ、妻が浮気をすると否や
持ち前の勘の鋭さで気付いてしまう
そして許せなくなる
ね、心当たりあるよね、トオルも?
尤も、それを敢えて黙認しているトオルは
ある意味、オトナの対応だと尊敬してるけどw
でも、まだ若すぎた、ユーキにはそれが許せなかった
否、2人の乳飲み子のためにも
奥さんの浮気のことは水に流して
やり直そうともした
だけど!!
一旦夫婦って冷めきってしまうと、
赤の他人同士よりも冷たくなるって言うじゃない?
分かるわー
私も前の夫に対して、無関心と嫌悪感しかないもの
もー、ひたすらキモい、顔も見たくないって感じよ
同じ空気さえも吸いたくないって、
まさにこれかって思ったぐらいよw
そんな感じで、ユーキ夫婦も再構築は不可能だった
彼は養育費を免除してもらうかわりに
1人で住むには広すぎる住宅のローンと
子供の世話では欠かせないマイカーを
元嫁に譲ると自分はそのカーローンも引き受けた
だから、ユーキはいつでもお金がないって口癖のように言うし
こんな田舎で移動するのに車さえも持っていやしないの
普通のメンズがじわじわと
何十年もかけて味わっていく悲哀を
わずか20代の数年で
駆け足のように体験してしまった彼は
いつでもどこか疲れたような、哀しそうな顔をしていて
たぶん、彼のそんな雰囲気が初めて会った時
実年齢よりも彼を老成させて見せたのだと思うけど
二言目には、こう言うの
「あーあ、おれ、どーして20歳で
結婚なんかしちゃったのかな?
ま、子供に恵まれたことは後悔していないけどね
でも、子供がいなかったら、さっさと地元に帰っていたかな」
あら、もうこんな時間
早く寝ないと、お肌に響いてしまうわ
この続きは、また明日ね
あ、それはそうと、
トオルはいつ私と逢瀬出来るの?
え、このユーキはまるでオレみたいだ
リトルトオルだ、ですって?
だから、是非とも一緒に酒など酌み交わしたい、ですって?
って、そーいうトオルは、バリバリの下戸でしょ?
他人に同情するヒマがあったら、
私たち、もー、とっくに
人生の折り返し地点過ぎたのだから
仕事とはちょっと距離を置いて
これからの自分の人生をどう生きるか
是非とも考えて見た方がいいわよ
会社は、トオルがいなくなったって
全然フツーにつつがなく回っていくのよ
でも、トオルの人生は
トオルしかかじ取り出来ないからねー
さぁ、夢の持てそうな、
そんな素敵な返事を待ってるわ、またね
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