おつかれさん
そうそう、昨夜の話の続きね
化粧品、日用品…思いつく限り、ネットで購入したわよ
だけど、依然として、私の意中の彼は来ない！！
どうやら、私の職場へは３人交代で配達しているみたいなのね
私が一目惚れした、瑛太似の黒髪の君以外にも
少し年かさの、リーダーらしい、
市川隼人似のおにーさん
それから、少しぽっちゃりとした、
工藤阿須加似のおにーちゃん、と
とにかく、近所でも評判の
イケメン３人衆の配達員なのよ！！
それはそれで目の保養になるけど、
大本命の彼だけが依然として現れない！！
一体、これはどーいうことかしら？
もしや、彼は辞めてしまったのかしらん？
と、１人でヤキモキしている頃に、
彼はようやく現れたのよ！
私が2日後の東京出張を控えて、予めその荷物を
ホテルまで送ろうと集荷を頼んだ時にね
そして、千載一遇のこのチャンスを逃すまいと
デスクのPCモニターに貼り付けてあった
メモ書きを慌てて引き剥がすと
夫の手前、ビジネスライクに
「これ、お願いしますね」って
黒髪の君に強引に渡したのよ
そうしたら、彼は一瞬、きょとんとしていたのだけど
「あ、ハイ」って受け取ったのよ
ちょうど、その日は忘れられない、
２月13日だったわ
どーして、忘れられないかといえば、
その日に色んなことが集中して起こった、
ある意味、ドラマティックな日だったと言えるからよ
まずその夜には、第２愛人のヒロシから呼び出されて
手書きのラブレターを朗読して、
私の誕生日を早めにお祝いして貰った日だったし
それから、カジモトの妻、なつみから
最初にメールを貰った日でもあった
私はヒロシとホテルで興じ合いながらも
黒髪の君から、果たして返事は来るかな？と
気にもしていたわ
まさか、せっかく私の誕生日を祝ってくれている
ヒロシの手前、露骨にラインを確認することはしなかったけど
そーしたら、まさにヒロシと一緒にいた頃に
この黒髪の君からラインが入って来たのよ
彼の姓は制服のネームバッチで知っていたけど
彼の下の名前は、ラインの登録名で、
ユーキであることを知ったわ
「今日メモ書き頂いたドライバーなんですけど、
これ追加して構わないんですか
」
「大丈夫ですよ、よろしくね
何歳の方なのですか？
ずっとイケメンさんだなと、気になっていました」
「イケメンですか笑
ありがとうございます！今は24ですよ、クソガキ笑」
「え！そんなに、お若い？（笑）
年上の女性とか気にならないのなら、
このままやり取りをしたいです」
「そんなに老けてましたかね笑
おれは年上派です
キデさんはおいくつなんですか？」
「老けてはないけど、落ち着いて見えたかな
マスクしていたしね
うん、確かにユーキくんは、
年上女性好きそうなオーラ出てた
私は46歳です
親御さんと年齢近いかもね」
「46？！そうは全然見えんかった！
失礼やけど既婚者さんでは？！」
「既婚者です
…ダメかな？」
「いや、別にラインする分にはええんですけど
旦那さんに見つかったら、やばいんちゃいます？」
そうそう、これもKide’s data によると、
平成メンズでイケメンになればなるほど
ラインでの会話文がより短く
そして、年上女性好きメンズは得てして
方言を交えてゆるゆるとした文体になるわね
だから、私もそんな彼らのペースに合わせて
ラインをしてあげるの
「それは大丈夫かな
これまでもボーイフレンドはいたりしたから
でも、もしも嫌なら、遠慮なく断ってね
私、全然気にしないからｗ」
「山本さん、さすがっすね
」
そうそう、まだトオルに明かしていなかったわね、
私の姓は、山本というのね
でも、ユーキは配達員だから、
既に私の姓名も、職場からハイヒール徒歩で７分の、
引っ越しして、未だに私でさえ覚えきれていない
自宅マンションの住所と部屋番号さえも
日々の配達を通してきっちりと把握していたわけよ
そして、職場ではとても清楚そうに見えた私から
ラインだけじゃなく、カカオのIDまで書かれてあった
メモ書きを渡されて、かなり遊んでそうな感じ
この山本キデという女性はどんな人なのだろう
見たところ、40代前半ぐらいか、
おれはまだ40代女性とやり取りをしたことがない
客からこんなメモを貰ったのも初めてだし、そもそも、
客に手を出すだなんてご法度
万が一こじれた時にややこしい
だけど！！
好奇心には勝てない！
実際、そんなユーキの迷いを表すかのように
ラインでの私の呼び方は
親し気にキデさん、になったかと思うと
山本さんになって突き放してみたり
その都度コロコロと変わって安定しなかった
あら、もうこんな時間
早く寝ないと、お肌に響いてしまうわ
この続きは、また明日ね
あ、それはそうと、
トオルはいつ私と逢瀬出来るの？
え、ついに禁断の、自分の年齢のほぼ半分のメンズを
口説いてしまったんだな、ですって？
そーなのよ、彼の年齢を知ってしまった時は
正直、衝撃だったわ
でも、ま、大甘に見て、トオル協定での、
下限年齢25歳には近いっちゃー、近いから、自分の中で
ま、いっかという、扱いになったのだけどね
唯一の救いは、私に子供がいなかったことよ
トオルみたいに、23歳の娘とかいたりしたら
即、ユーキともやり取りはやめにしていたわね
ちなみに、ユーキの親御さんは53歳とのことで
私よりも辛うじて年上で救われたわ
もしも、彼の親御さんと同い年なら
うーん、ちょっと自分でも引いてしまったかも知れない
日頃は都合よく自分の年齢なんて
忘れてしまっている私だけど
こうして残酷にも自分の年齢を突きつけられるのね
ねぇ、何か自分の年齢を忘れてしまいそうな
そんなロマンのある返事をちょうだい、待ってるわ
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