毎度お馴染みの待ち合わせ場所のスーパーの駐車場まで向かうと
うふふ、彼らしく几帳面に毎回定位置に止めてある、
舐め犬クンのベージュのFIAT500を見つけたわ
あたしが車まで近づいても、彼は夢中になってスマホを見ていて気付きそうにない
あたしが軽く窓ガラスをコンコンと叩くと、彼はハッとしてあたしを見たの
あたしはドアを開けて、車内に乗り込むや否や先に挨拶をしたわ
彼の口の重さは重々承知していたのでね
「こんばんは、久し振りだね」
「あ…ほんと、久し振りです…」
あたしはシートに腰を下ろすと、車を出した彼を隣でまじまじと見たわ
季節が少し逆戻りして初夏なのに肌寒い夜だったから
あたしは久々に薄手のニットと
少し厚手のマウンテンパーカーまで引っ張り出して着たというのに
舐め犬クンってば、薄手の白いYシャツ1枚だけ!
そのいで立ちに驚いて、あたしは咄嗟に声を出していたわ
「ね、舐め犬クン、キミ、シャツ1枚だけで全然寒くないの…?」
「はい…寒くないです…」
163㎝のあたしより心なしか背が高いかそれほど変わらない彼は
骨格はどちらかと言うと骨太でしーっかりとしている方だから
あたしが苦手とする華奢体型とまではいかないけど、
細身であることには違いない
今はやりの前髪重めのマッシュルームカットをして
職業柄のせいなのか、髪の色は地毛の黒をベースにしてそれほど崩さず、
やや軽めに色を入れてるだけなのかな
彼の乗る、このベージュのFIAT500を始めとして、
どーやらちょっと個性的で可愛い系のモノが好きらしー彼は
プレーンな無印良品のアイテムによるスタイリングをベースに
アクセントとして小物で遊ばせるのがお好きと見た
ふむ、あたしがこれまで逢瀬してきたメンズの中でも結構上級のお洒落さん
だから、元々着道楽のあたしも、気が付けば無意識に
彼のファッションアイテムをじーっと眺めては楽しんでいたりする、笑
ベッドの外でもこーしてあたしの目を楽しませてくれるメンズは
そーなかなかいやしないわよ、笑
それから、舐め犬クンの元々のシャイでナイーブな人柄と相まって
既に30半ばを迎えているにも拘らず、たびたび女性から「可愛いー♡」とかって
言われることがあるって言うのも確かにうなずけるわね
相変わらず、出会った当初からずーっと同じ、口数は少ないのだけど
それでもあたしとこれまでに何度も逢瀬を重ねて来て彼なりに
少しは心を許してくれていると思っていーのか、
早速、無言であたしの右手を取ると恋人つなぎをしてきたの
「最後に会ったのは、確か2月半ばぐらいだったから、
2か月半ぶりぐらいに会うのかな…?」
「そうですね…それはそうと、キデさん、手術されたんですよね…?」
「え、知ってたの?
ひょっとして、あたしのブログ、ずーっと読んでくれていたの…?
だって、一度はあたしから関係終了を言い渡されていたじゃない?」
「はい…」
舐め犬クンは出会い系サイトではあたしをフォローしてくれていて
あたしのつぶやきとかに時々「いいね!」をくれたりしたし
確かに、このアメブロも1度は案内したことあるものの、
まさかそれ以来、変わらずにずーっと読み続けてくれていたとは思っていなかったわ
読者兼セフレという二足の草鞋(わらじ)を履くメンズの反応って
大体、例外も含めると次の3パターンに分かれてくるのよ
ちなみに、舐め犬クンってば、割合的に結構多い、
タイプ1だとばかり思い込んでいたわ
まさかまさかの、タイプ3の中でも極めてレアな存在だったとは!笑
うふふ、あたしってば、どーやら彼を見くびっていたみたいね
*****
- TYPE1: 念願のセフレになれたから、
- それまでの戦略を練るための情報収集として
- ブログやサイトでのつぶやき、日記などを読んできたタイプのメンズは、
- めでたく目的達成したので、今後は一切それらに近寄らない
- なぜなら、今度からはセフレの一員として読むことになってしまい
- 他のセフレメンズとのやり取りを書いた記事に嫉妬してしまうから
- TYPE2: 最初からそもそもブログを読むことに興味がない
- Xやインスタ程度の短文しか読めない、
- それ以上の長文になると読むのが苦痛
- あるいは、あたしがブログで自分の性生活を赤裸々に公開していることを
- 良しとしていないため、最初から一貫してあたしのブログに近寄らない
- (だからセフレであっても読者ではない、例外パターン)
- TYPE3: 自分以外のセフレメンズの動向に
- 多少なりの嫉妬を感じていよーとも、
- 読者としての視点も依然として失っていないので
- それはそれで楽しんで積極的にあたしのブログを読んでしまう
- その存在自体は極めてレアだけど、あたしと別れた後でも、
- あたしのフォロワーとして残り続けていたりすることもある
*****
あたしは、舐め犬クンがあたしのブログを
ずーっと読み続けてくれていたことを知って今更ながらに、
ちょっとドキリとして冷や汗が出そーになってしまったわ
それと言うのも、あたしはてっきり、
舐め犬クンはもー全然、読んでいないものとばかり思っていたから
ブログの中で、時には辛辣だと思われるほどに、
遠慮なく彼への印象を書いたりだとか
またある時は、何の断りもなく、勝手にサブキャラとして登場させて
散々イジリ倒したこともあったしな…
んもー、舐め犬クンもお人が悪いんだからー!
だって、読んでますよって、少しぐらい匂わせてくれたってもいーじゃない?
…って、何事につけ、無口で控えめな彼ではムリか…笑
え、舐め犬クンが読んでいることを予め知っていたなら、
もっと手心加えてマイルドに書いていたのか、ですって?
当ったり前でしょ、こー見えてあたしだって人の子なんだから、
ええ、大いに日和りますとも!
さて、あたしが舐め犬クンの隣で1人そーやって、
青くなったり赤くなったりしながら、ぐーるぐーると思いを巡らせていたら
彼はボソリと藪から棒にこーんなことを言って来たの
「…僕、キデさんからメールを貰えてとても嬉しかったんだ
しかも、そのメールの内容が、今夜直ぐの逢瀬のお誘いだと知って
職場だったけど、その場で飛び上がりたくなったぐらい」
そー言いながら、舐め犬クンってば、
あたしの手を更にギュッと力を込めて握ってきたわね
そーこしているうちに、あたしたちは、
またもやお馴染みのホテルKのゲートをくぐり
既に埋まり出して数少なくなってきた空室を目ざとく見つけると
サッとその部屋のガレージに車を入れて駐車したのよ…
to be continued…
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