ゆーや、おつかれさん
さ、今夜も、愛人帝王学の
レクチャー始めるわよ
そうそう、私が夫から
拒絶されて衝動的に、
出会い系サイトの登録を
考えたところからだったわね
私、今でこそ、その片鱗は
見えないって言われそうだけど
こー見えても、かつては、
一穴主義ならぬ、一本主義だったのよ
どんなに夫や彼氏に不満があったとしても
ちゃんとお別れするまでは、
けじめをつけるまでは、いくら誘われても、
他の男と単なる食事さえも出かけない、
そんな堅物の、一本気なところがあったのよ
だから、怒り任せて衝動的にとは言え、
どの出会い系サイトに登録するか、
検索しているだけで物凄い背徳感を
感じずにはいられなかったわ
私を拒絶した夫は、
まさか妻がサイトで
男を物色しようとしているとは、
夢にも思わずに、背を向けて
平和にTVを観ていたわね
その背中を、夫への憎たらしさと罪悪感が
ないまぜになった、何とも言えない気持ちで
横目に見ていたものよ
でも、同時にもう引き返せないとも思った
やはり知らずのうちに自分にムリを強いて
ちょうどいい潮時だったのよ
どこのサイトがいいのか全く知識なんてなかったけど
直感的に目に飛び込んできた、サイトWにしたの
不慣れな感じでドキドキしながら登録を済ませて
自分のプロフを開設したら、それから1時間も経たずに
私のプロフに「いいね」とか「タイプ」とか
そんなサインが地元の県だけじゃなくて
実に近県数県のメンズからもリアクションがあって
その数、ゆうに100件は軽く超えていたから
驚いてしまったわ
初めは何かの間違いだと思ったの
だって、私はアラフィフのおばさんだったしね
ほら、世間では女子は若ければ若いほどいいって
風潮じゃない?
だけど、彼らはちゃんと私のプロフの年齢を見た上での
行動なのだと分かった時は、
こんな私だってまだまだ市場価値はある需要はあるって
すっかり舞い上がってしまったわね
そしてそんな私に間髪置かずに
長文のメールを送って来た2人のメンズと
右も左も分からず舞い上がったままの私は
やり取りを開始することにしたの
1人目は42才のメンズで
この人は始終、紳士的な人で
自分は固い仕事をしているからって
怪しい人間じゃないって
自ら職場名も明かしてくれたりしてね
しばらくメールのやり取りをしていたのだけど
ずっとどこか上滑りな当たり障りのない内容ばかりで
じきにやり取りで行き詰るようになってしまったのよ
こちらもサイト利用初めてだから、
メールのやり取りはするけど
彼が誘うようには、
直ぐには顔合わせで会う勇気もなくてね
最終的には随分後になってから会って、
向こうは私のことを
とても気に入ってくれたみたいだけど
私のタイプではなかったから、
そのまま自然消滅させたわ
そんなときに私にメールを送って来たのが
Q男(きゅーお)なのよ
Q男は32歳の既婚者メンズで、
30代そこそこでまだ若いのに
先のメンズよりも情熱的で
随分と人情味の溢れた
長文のメールを送って来てね
最初は彼が私よりもずっと
年下だったとは思わなかったわ
当時私はまだサイト利用を初めて数日だったから、
衝動的にサイト登録をしたものの、
自分が一体何を求めているのか
はっきりとは分からずにいたの
今みたいに、
やれ、25-39歳の中折れしないメンズに限るだの、
メンズの真価は顔面騎乗で分かるだなんて
うふふ、まだその当時は思いつきもしなかったわね、
完全にサイト初心者だったのよ
このQ男の特筆すべき点は、
こちらの警戒心をたちまちに解いてしまうような
そのメールの巧みさに尽きるわね
ゆーやも30代のメンズにしては珍しく
長文のメールのやり取りをするのが好きだけど
何て言うのかな、ゆーやの場合は、
言葉のセンスとチョイスが秀逸で
いつでもこちらを唸らせるけど、
ちゃんとゆーやは一線を引いていて
必要以上に相手の内面には立ち入らないっていう、
大人の男の配慮を感じるわ
だけど、それとは対照的にQ男は
遠慮なく猪突猛進で
こちらに向かってくる感じね
でもそれが不思議なことに、
負担にも嫌味にも感じなかったのよ
昭和枯れすすきの夫は悪い人ではないけど
口下手でいつも無口で何も言わないから
何を考えているのか掴みきれない所があって
不倫関係で付き合っているときから
甘い言葉など一切言わない男だったから
Q男のそーいう、情熱的なところが
まさに物珍しく新鮮だったのでしょうね
私が無類の音楽好きで、
たまたまこんな音楽を聴いてるって書くと、
すぐにその曲を検索してダウンロードして、
奥方に遠慮しなくていい
往復の通勤時間に車内で好んで聴いてくれるようになったり
私が朝活のために早起きをしていると知るや否や、
自分も早朝に起きて長いメールをくれたりしてね
二言目には「キデ色に染まりたい!」
と言ってくれて、私のことなら何でも、
実に熱心な興味を示す彼だったわね
Q男と1週間ぐらい、そんな感じで情熱的に
朝昼晩とメールのやり取りをしていくうちに
初めて、この彼とだったら会ってもいいかなと
思えるようになってきたのよ
そのときは写真交換を顔合わせ前に
した方がいいっていう知識もなかったし
写真写りが悪いから自撮り写真はなくて、
見せる写真はないと断ると
Q男もそれを受け入れてくれたしね
Q男に対して
すっかり心を開きつつあった私は、
それまで誰にも打ち明けることのなかった、
2人の夫がEDであることを話すと
「そんな大変なことをよく打ち明けてくれたね」
って言ってくれたりして、
それまで私の中で張り詰めていたものが
ほぐれていくのを感じていたわ
それで思わずこの人からまずは
メイクラブをするよりも
頭をなでなでされて
今までよく耐えて来たねって
慰めて貰いたいって思ってしまったのよ
今、こーして打ち明けると、
実に今の私らしからぬ発言で、
とても恥ずかしいわ
私だって最初はこーして人並みに
純真なところもあったのよw
だけど、一方でQ男はサイト利用は初めてじゃない
これまでにもサイトを通じて付き合った人は
何人かいたと聞いていたから
そんなQ男とゆくゆくは自分も
性交渉を持つのかと思うと
20年近く2名の夫としか
関係を持ってこなかった私には
かなりの冒険で正直かなり怖かったわ
おまけに昭和枯れすすきの夫は
抗がん治療中だったし
抗がん剤でどんな副作用が
いつどのような形で出るのか分からない
そんな恐れのある夫は、副作用が出るたびに
大病院で複数にわたる診療科の主治医同士が
カンファレンスをして治療方針を決定するような
状態だったから、
絶対にそんな彼に
性病を移せないとも思っていたの
草食系どころか絶食系で私としか
セックスをしていない夫にとって
性病にかかるということは、
すなわち私たち夫婦の終焉を
意味することでもあったわけだしね
何が何でも夫には性病を移せないと思ったの
だから、Q男に頼んだのよ
ちゃんと夫の事情も話して、
だからこそまずは性病検査を受けてと
そーしたら、彼は一応、快諾してくれたわ
だってこの当時はQ男としか
やり取りをしていなかったし
彼とやり取りを開始した以上は
彼以外の人とコンタクトを取るのは
彼を裏切っているような気さえしたものよ
実際、彼は私とやり取りを開始すると
サイトをすぐに退会してくれたし
私にもサイトを同じように退会するように
求めて来たから、それに素直に従ったのよ
え、のっけから何だかいい人に巡り合えて
幸せそうだったんだね、ですって?
…うふふ、ここまではね
あら、もうこんな時間
今日のレクチャーはここまでよ
この続きは、また明日ね
しっかりと学んで、
素敵な愛人さんになってね♡
間違っても、トオルみたいな
ポンコツ愛人になってしまってはダメよ
それでは、またね〜
コメント