おつかれさん
うふふ、久々に思い出したことがあるの
私がしょーたと初めて逢瀬をしたとトオルに報告したとき、
トオルはやけに興奮して、夜遅かったけど、今から逢いたい、
逢いに行くって、車で1時間飛ばして、やって来てくれたことがあったわね
偶然にもトオルとしょーたは、同じ町に住んでいて、
トオルが後でわざわざ来たのよって言ったら、しょーたは絶句してたけど(笑)
私の性欲はすっかり、しょーたに吸い取られて、まだ残っているかなって呟いたら、
トオルは「そんなことは、どーだって構わない、俺が逢いたいから逢うんだ」って
それから、私の自宅近所のラブホテル街に行ったとき、
「ヤツとはどこのホテルに行ったんだ、俺も同じところに行く!」
って気色ばんでいたけど、私に、
「ねぇ、トオルと私だけの行きつけのホテルを作らない?」って言われたら、
おとなしくその案に従ったっけ(笑)
情熱家だけど、そうやって気持ちの切り替えを早くして、
最大限目の前のことを楽しもうとする、
そんなトオルの姿勢が好きよ
そうそう、そのホテルからの帰り道で、うちの夫を車窓から初めて見かけて、
今度はどよーんと罪悪感に苛まれ、意気消沈してしまったトオル(笑)
あの日は、まさにジェットコースターのような目まぐるしさで、
色んな感情にぐるぐると襲われていたわね
ほらね、私と一緒にいたら、退屈しないでしょ?(笑)
中毒性のある女だとよく言われるわ(笑)
それはそうと、やっぱり、トオルはナイーブなのね
既婚女性と付き合ったのは、何も私が初めてじゃないのに
それはたぶん、相手の配偶者を初めて間近に見てしまったことと、
うちの昭和枯れすすきの夫は、難病指定の黄色靱帯骨化症で、
背骨が大きく湾曲してるから、
そんな姿に、さらに同情を引いてしまったからでしょ
でもね、それはうちの夫に対しても失礼だし
第一、そんな誰得にもなりやしない、安っぽい感傷は、
さっさと捨ててしまうべきだと思うの
それが出来てこその「不倫」でしょ
「婚外恋愛」とか言った、小洒落た言葉もあるけど、
所詮は誰かを常に傷つけてる「不倫」だわ
私はそれを理解した上で、敢えて確信犯的に行っているから、何も痛まないわ
私は自分の行動で誰かを傷つけていることは百も承知で
それでも敢えて自分の欲望を優先して決断したことだから
ほら、スティービーワンダーも歌ってるじゃないの
これは私の意訳になってしまうけど
「悪いことだとはよく分かっているさ
だけど、正しいことだと感じているんだ」
まさに、この気持ちね
だから、私がトオルの奥方を見かけたなら、
「へぇ、こういう女性が好みなのかぁ」って、
まじまじと観察しちゃうわね(笑)
罪悪感だなんて感じやしないわ
嫉妬もしないけど
私は夫への最大の配慮として、
墓場までトオルを含めたメンズたちとのやりとりを隠し通すつもりよ
それが優しさ、それが礼儀っていうものよ
夫のいる私を愛すということは、
そういうことも受け入れるということよ
綺麗事だけではないの
あら、すっかり長くなっちゃったわね
一旦、ここで切るわ
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