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別れの予感 ~セフレ・トレンド2024、完結編~

メイクラブ

アレックス、あたしたち、どうしても別れるような流れにあると思う

あたしたちの始まりが、どうしても抗(あらが)えない流れから始まったように

あたしたちの終わりも、どうしても抗いがたい流れにあるみたい

だって、どんなに振り払っても振り払っても、こんなにも別れの予感がつきまとう

あたしはその流れに抗おうとは思わないよ

そんな流れにあるとき、ひとはどうしても抗いたい気持ちになりがちだけど

でも、あたしは知っているの

そうやって、悪あがきすればするほど空回りのみじめな流れになって

いつでも最後は自分で自分を憎んで嫌ってしまうことになるから

あたしはいかなるときでも、自分を一番愛している誇り高き女だから

そうやって、むなしく自分を傷つけたくなんかないの

でも、それは、アレックス、あんたも同じだったよね?

あたしは、あんたの、その自己愛と自信に満ちた

大人の男然としたところが好きだったけど

それだけに、明らかにあたしを突き放してこれ以上は立ち寄らせない

そんなあんたの、冷たさにあたしはどうにも戸惑って淋しささえも感じていたの

ウフフ…今だからこそ、言うんだけどね

いいえ、あんたの全てが決して欲しかったわけじゃない

セフレとしてもっと気楽に楽しく歩み寄れたらと思っていただけ

だけど、それがあんたの個性なのかなってあたしは黙認していたけどね

いいえ、あんたを恨んで憎んでいるわけじゃない

あたしはむしろ、あたし史上、

完璧だったセフレとしてあんたを尊敬さえもしているの

それから、感謝さえもしているのよ

だって、そうでしょ、

あんたは健やかな勃起のために、

もう10年以上、毎朝欠かさず腕立て伏せを100回している

と言うぐらいのストイックぶりだったし

だからこそ、あんたが寝て来た、数々の女たちと大いに違って、

中イキを自ら取りに行く、

そのあたしの独特なスタイルに初めは驚きながらも

アレックス、あんたはその驚異的だった衰え知らずの勃起力で

いつまでも力強く、いつでも慈愛深く、あたしのアクメを優先してくれたわね

連続中イキ出来ない、バックも出来ないあたしは

あんたにとって実に物足りない相手であったことは重々承知していたけど

その気になれば、数多(あまた)の女たちを虜にすることだって出来た筈なのに

ウフフ、アレックス、あんたってば、

そんなあたしに時々は不平不満をこぼしながらも、

用心深くあたししか抱いてこなかったの

それなのに、今にして思えば、あたしとあんたとは、

やっぱり体の相性がとことん合わなかったのかもね

何度も何度も、どれだけ肌を重ねても、

あたしのMってば、そのたびに血の涙をしくしくと流すものだから

思い余ったあたしがとうとう、潤滑剤を自ら持ち込んで試した時に

アレックス、あんたってば、

あの不死身だった筈のPを自ら一瞬黙らせてしまうほどに警戒して

あたしにそのローションの成分は一体何なのか

ゴムを着けずにセックスをする2人にとって

本当に安全な成分で出来ているのかって自分でも調べてみたいから、

どこで購入したのか、説明書はあるのかって

クールでドライなあんたにしては珍しく食い下がって来たこともあったわね

そうそう、あんたは毎年欠かさず、性病検査を受けてきたと言うし

あたしも定期的に受ける、性病検査の項目にはなかった

HPV陽性であることがつい先日の健康診断で分かったと

速やかにあんたに告げると、あんたは慌ててHPVについて調べて、

男性では珍しく、自分もHPV検査を受けることにしたと言ったの

体の強いあんたのことだから、十中八九、HPVは陰性だと思っているけど

アレックス、あたしは、セフレとしてのあんたのそんな慎重さを尊敬してたよ

多くの外国人メンズってば、無防備に見境もなく女漁りをして、

どんなに心当たりがあろうとも、いいえ、すねに数多(あまた)の傷があるからこそ

性病検査を受ける勇気さえもろくろく持ち合わせていやしないと言うのにね!

それから、最近ではあたしたちが逢瀬の約束をするたびに

その直前になぜかあたしが不可解な体調不良ばかりに襲われて、

流してしまったことも数知れず

それどころか、めげずに逢瀬のリスケを試みるたびに

どんどんとあたしの体調不良は深刻になっていったの

だから現在に至るまで数か月もの間、1度も会えていない有様

あんたは病気などを恐れて用心深く

あたし1人しかセフレを作って来なかったものだから

性欲と精力があたしとはくらべものにならないぐらいに強いあんたが

セックスがまだまだ当分出来そうにもないことが申し訳なくて

セフレとして大好きなあんただからこそ、

あたしがお相手出来ない間でもセックスを楽しんで貰えるよう、

あたしはあんたとの別れを覚悟で

あんたの好きそうな別の女を紹介しようとしたら、

アレックス、あんたは「抱く女は自分で選ぶ」って断ったよね

ウフフ…そうだよね、誇り高き男のあんただから断られるかなって

どこかで薄々感じてはいたけれどね…

ごめんね、出過ぎた真似をして、あんたのプライド傷つけてしまって

でもね、後悔はしていないんだ

あんたを不快にさせてしまったことは謝るけど

でもその出来事があったおかげで、あたしはあんたが教えてくれなかった

あんたのセックスへの姿勢、考え方を少しは知ることが出来たから

知らなかったよ、

あんたには既に高校生の息子さんがいるのは知っていたけど

あんたの強くて優秀な男性性に

子宮レベルから骨抜きにされた数多(あまた)の女たちから

結婚や交際を迫られ続けそれを容赦なく断り続けて来たあんたが

まさか、今度は自分の娘を生んでくれる女を探し求めていただなんてね

それがあんたの夢だからこそ、

今までこんなにも慎重な性行動、性生活を送り続けてきたわけだったんだね

ウフフ…ストイックなあんたらしいね

でも、あんたのその密やかな夢をあたしに教えてくれてありがとう

あたしは全面的にあんたの夢を応援するよ

でもね、これでも少しぐらいは嫉妬していたりもするものだから

一刻も早く、あんたが

ファム・ファタールに出会えますようにとは言わないけどね、笑

最後に、それぐらいのご愛敬は許されるってもんでしょ?

さてと、ずっと気付かないフリでいたけれど、

「もう、やめときな、まだ分からないのかい?いい加減、もう別れの潮時だよ」って

M神様が、あたしをあんたの前から連れ去ろうとしているみたい

さすがに、ここまで重ね重ね、別れのための伏線を張られてしまうとね、笑

ウフフ、いつでも、M神様の気紛れであたしは突然、男を押し付けられて戸惑い

M神様の強い力に抗えずに逢瀬する羽目になって始まり

いつでも、M神様の気紛れであたしは突然、懇(ねんご)ろになった男を奪われて

M神様の強い力に途方にくれるばかりなの

だから、あたしはそのたびにどんどんと別れ上手になって

今ではこうして、別れの予感と余韻とをしみじみと噛み締めているのよ

アレックス、さよなら、あんた、いい男だったよ

どうか、元気でお幸せに…ごきげんよう!

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