いい加減、煮え切らない返信ばかりを寄越すマコトをさっさと見限って
あたしは出逢い系サイトの掲示板にて
「今夜、夕飯をご一緒出来る方を募集します!」って書き込んだわけだけど、
それに一番乗りで応募してきたのが、
自称年上女性好きの29歳の浦和在住のサラリーマンの男だったわ
数回メールの白々しいやり取りをした後で写真交換をし
お互いイヤな印象は受けなかったから、早速会うことになったのよ
だけど、その前にあたしは新宿の伊勢丹でランジェリーを
この1年間で体重が10㎏も肥えてしまったことでサイズが合わなくなり、
一新すべく買い替えたかったから、
待ち合わせ時刻や場所で迷いに迷った挙句、
あたしの買い物終わりに合わせて、ランジェリーのあるフロアー、
伊勢丹3Fの女性トイレ前で待ち合わせることにしたのよ
だって、割かし空いてるそこにはチェアーもあって、
そこで座って時間を潰すことも出来たしね
相手は新宿東口で待ち合わせを提案して来たりしたけど
あたしは未だにあのごみごみとした新宿駅に慣れずにいてキライだったし
おまけにちょーど外では冷たい雨が降り始めていたから断ったの
あたしは上京のたびに通ってる、伊勢丹の3Fフロアーで
約40万円分のランジェリーを購入すると、
東京滞在中に着用する数着だけ手提げ袋に入れて貰って
後は地元のあたしの自宅に直送して貰うよーにお願いしたわ
そんでもって、これから逢瀬すべく男の為に
身に付けていたランジェリーを購入したばかりのものに既に着替えていたの
だって、そーでしょ、自分の体のサイズに適応したものを身に着けてこそ
あたしのよーな、アラフィフ女性の柔らかな脂肪の体はしかるべき位置で
キレイに収まってくれると言うものよ
そ、全ては下着と言う、入れ物次第なの
ここで、少しでも理想の位置とやらを教え込んでやらないとね、体に
さて、浦和リーマンとの待ち合わせ時刻から既に40分ぐらい遅れていたわ
彼は雨の金曜の夕方ということもあって、めっちゃ混んでて遅れると
律儀にその都度連絡を寄越して来たからこちらも心配せずに待っていたけどね
やがて彼から「今、新宿駅に着きました、今から伊勢丹へ向かいます」と
連絡が入った時、あたしも待合のチェアーから立ち上がると
もう一度トイレへ向かったの
あたしは購入したての、白いブラ、白いキャミソール、
タツノスケ師範の好みでもあり、最近のあたしの好みでもある、
ソング(Tバックショーツ)をいつもなら履くのだけど
さすがに生理明けということもあって、レギュラーショーツにしていたわ
すると、おろしたてのショーツに経血が少し滲んでいたの
「あーん、もう!」って、あたしは舌打ちしたい気持ちになったわね
あたしは元々、生理前症候群は重いタイプだけど、
生理自体は軽くて直ぐに空けてしまう方だったのに、
今回はタツノスケ師範の生入れ毎回と
挙句の果てには中出しまでされてしまって
生理前からあたしはとーってもハラハラさせられた上での
幕開けだったわけだけど
今回はそーいうちょっとした騒動もあったせいなのか
今回に限って、生理もぐずぐずといつまでも長引き、
それはあたかも、M神様の秘蔵っ子だった
タツノスケ師範を裏切って
他のメンズとこれから逢瀬するのを嘆き悲しむ、
あるいは阻止するかのよーな
M神様の涙のよーにも思えないこともなかったわ
だけど!!
あたしは自分の性欲の前では非情なのよ
そんな一切の感傷は要りません
フンってあたしは軽く鼻を鳴らすとトイレから出たわ
そして、これから会う男と新宿のラブホに行くか、
それともあたしの滞在するホテルへと連れて行くか、
まだ迷っていたけど、これではっきり決まったというわけよ
このままセックスをすると、
確実にある程度の出血は免れないと思ったからそれは避けたかったし
それに、ひょっとしたら、万が一、今夜こそマコトが
あたしの滞在するホテルにひょっこり出没するかも知れない
彼の為にタオル等のアメニティーは残しておきたい
もちろん、誰ともまだ使用していないベッドのままで
置いておきたいとも思ったの
あたしはラブホでさっさと逢瀬を済ませてしまおーと決めて
この浦和リーマンにはKakaoで伝えたわね
最初は白々しく、2人とも夕飯のお店の相談とかしたりしていたのだけど
いかんせん、思い付きで金曜の夜に小洒落たお店など見つかる筈もなく
そもそも、2人で食事をすることが真の目的でもありやしないので
あたしから早々に
「お腹もそんなに空いていないでしょ?食事は止めにしませんか?
とにかく、お会いするときは、どんな可能性になってもいいよーに
避妊具だけ持参しておいてくださいね」
と伝えてあったのよ
そして、彼から「3F女性トイレ前に到着しました」
といよいよ連絡を貰って、トイレのチェアーから立ち上がると
あたしは少し緊張しながら外に出てみたの
すると、写真交換でどこか見覚えのある、
少し背の低いスーツ姿の男性がウロウロしていて
その彼とバッチリと目が合ったのよ
すると、彼から「会う約束をした方ですか?」って尋ねられて
あたしも「はい、そーです」と声も小さめに返事をしたの
その時、彼はあたしのことを頭の天辺から爪先まで
さーっと視線を走らせると、あたしのことを値踏みしたわね
あたしはこの時、一度買い物荷物をホテルに置いて
そんでもって、デート用の男ウケしそーな洋服に着替えてから
待ち合わせをしよーかと考えていたのだけど
いかんせん、それでは時間が間に合いそーになくて
そのまま、ラフでカジュアル、モードさえも少し意識した
さも女性ウケしそーな、だけど、男性には少し理解されにくそーな
そんなファッションをしていたのよ
長めの白のコットンカーディガンに、
白の英字ロゴが真ん中に大きく入ったロンT、
黒のジャージ素材のくるぶしまであるロングタイトスカート、
それから黒のタイツに、オヤジチックな黒のビットローファー
折からの雨模様にあたしのネコ毛の髪はセットむなしくぺったんこ
第一、メイクだなんて後回しにされて、よりによってノーメイク!
…ま、言い訳はいくらでも、こんなふーに尽きないけど、
明らかに彼の目に、一瞬ではあったけれど、
軽く失望が映し出されたのを、
あたしは決して見落としはしなかったわ
これまでに相手のメンズからガッカリされたことがないと
自負していたあたしにとって、
それはちょっと女としてのプライドが傷つけられたよーな
出来事ではあったけれど、
ま、あたし側のコンディションも最悪だったし、
東京メンズ基準とあたしの地元のメンズ基準とでは
哀しいかな、大きな隔たりがあるのかも知れない
そ、あたしはまだその東京メンズ基準を把握しきれていないだけ
それに、あたしは別にステディなボーイフレンドを
作ることが目的ではなくて、さっさとこの性欲を解消したいだけなのだから
いいわ、この際、細かいことには一切目をつむりましょって
考えを切り替えたの
でも、あ、そー言えば、タツノスケ師範から言われたことがあったわ
サイトで写真交換したとき、まさに今回のこの浦和リーマンにも見せた
同じ写真を使用したわけだけど、随分後になってから、
「その写真とあたしの実物とがかなり違った」と
ボソッと言われたことがあったの
それはあたしにとっては、全く意表を突かれた発言だったから
こちらもギョッとしてしまったのを覚えているわ
写真自体は去年の10月に撮影されたものだったけど
それから10㎏は肥えてしまったので、
今後はこの写真は封印して使わぬほーがいいのではないかと
ひょっとしたら、この浦和リーマンも図らずも
写真と実物とのギャップにガッカリしてしまったのかも…
一応、事前の写真交換ではお世辞でも「お綺麗ですね」と
言って貰えただけにね
さて、あたしの少し先をさっさと歩いて行く彼に
遅れまいとして必死になってついて行ったわ
そのスピードの違いは単に、都会で生活して歩き慣れた者の速さと
あたしみたいな田舎で車生活に慣れ切った者のとの違いなだけなのかと
多少訝しがりながらね…
to be continued…
コメント