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トーキョー・ラヴァーズ~その17~(東京愛人特集)

丑三つ時の午前2時過ぎ

 

立て続けにLINEをあたしに送り付けても一向に何の反応も示さない

 

そんなあたしに焦れて、今度はLINE電話

 

マコトがあたしに寄越して来たのよ

 

しばらく鳴らし続けた後で、熟睡していたあたしもさすがに気付いて

 

寝ぼけ眼で枕元のスマホを見たの

 

「…ん?LINE…?まだ鳴ってる…?

 

…ん?何これ、LINE電話なの…?

 

…ん?マコト…え、マコトなの、あの?!」

 

意外や意外過ぎる相手に

 

あたしはガバッと布団の中で身を起こしたの

 

まだしつこく電話は鳴ってる

 

さっと未読LINEのメッセージに目を通すと、こー書かれてあったわ

 

「今、西日暮里にいる、そちらに行けると思う」

 

「これからそちらへ向かう、30分ぐらいで行けると思う」

 

それからあたしは慌てて、マコトからの電話に出たの

 

「…マコトなの…?」

 

「そーだよ」

 

電話口のマコトは明らかに泥酔しているよーな口調だったわ

 

また今夜もプロデューサー等の接待に明け暮れていたのかしらん?

 

同じ芸能界業界で働く、ショウも接待が主な仕事だとも言ってたし

 

「今、西日暮里にいるんだ、今からそっちへ行く」

 

「え…今からこっちへ向かって来るの…?」

 

あたしはサイドテーブルの上の時計を見て、一瞬、躊躇したわ

 

今からマコトを出迎えると、

 

明らかにあたしは徹夜で眠るヒマないわね…

 

それから、あんなに泥酔した様子だと、

 

マコトとまともにセックス出来るとは決して思えないのだけど…

 

色々と後ろ向きな理由はいくつも思い浮かんで来たわ

 

だけど!!

 

あたしはそれでも敢えてマコトとこの時間から会おうと思ったのよ

 

だって、そーでしょ?

 

マコトと知り合ってからこの半年近く、

 

あたしが地元にいて遠距離でやり取りをしていた時でさえ

 

こちらからのLINEは大抵未読既読スルーだし

 

上京したらしたで、相変わらずいつ会えるのか

 

そもそもあたしと会う気があるのかどーか

 

一向に煮え切らない態度だし、

 

その間も未読か既読スルーが基本スタンスだし

 

こーまで無視され続けると、

 

あたしに関心がないと言うレベルはとうにぶっちぎって

 

「そもそも、このマコトという男は本当に実在しているのか?!」

 

って、いつしかあたしの中で、「すわ、ツチノコかマコトか?!」ってぐらいの

 

UMA(未確認動物)扱いになってしまっていたのよ

 

「よーし!会いに来たいとわざわざ向こうから言って来てるのなら

 

しかとその実在振りを確認してやろーじゃねーか!!」

 

って、まさにこちらは怖いもの見たさの感じで、

 

結局はマコトの来訪を受け入れてしまったの

 

「しかも、この機会を逃したら、数年前に見た、

 

しし座流星群大出現の周期みたいに

 

今度お目見え出来るのは、何十年後かってなりかねないわ!」ってね

 

どーせ、向こうはあの調子だとべろんべろんに酔っていて

 

あたしの部屋が多少、広げられたままの荷物で取っ散らかっていよーが

 

そこに例え誰かの遺体が転がっていよーが、全然気にしないことだろーけど

 

だけど!!

 

この、素敵な非日常の砦で、曲がりなりにもこれから逢瀬をしよーとするのに

 

そのままあたしの日常の残骸が散乱したままで男を受け入れたくなかったの

 

だから、電話を切った後、慌てて簡単にだけど部屋の片づけをしたわ

 

そ、何てたって、あたしの美学がそれを許さなかったの!

 

うふふ、マコトのことなんて、ホントはどーでも関係なくてね

 

そんでもって、ざっくりと片づけをした後の部屋の様子がこれ↓

 

 

「何もかもキレイ過ぎるのはちょっと色気なさ過ぎるわ」って

 

マコトに起こされて、きっとろくろく眠れていなかったせいね、

 

あたし自身でもよー分からんこだわりで、

 

1人寝で少し乱れたベッドは敢えてそのままで残してあるけどねw

 

それから、あたしは自分がシャワーも浴びずに寝入っていたことを思い出したけど

 

今からでは到底間に合いそーにないし、

 

いいわ、マコトを部屋に迎え入れてから入浴してもいいし、

 

いいえ、そもそもそんな流れになるのかしら、

 

会うなり彼は眠り込んだりして…?

 

あ、そーだ、あたし、マコトから連絡来たら、

 

彼を迎えに1Fロビーまで下りて行かなきゃならないのだった

 

あたしは簡単にざっくりとした大きめのニットと

 

バックに大きなスリットの入った、ジャージ素材の柔らかい、

 

黒のロングタイトスカートを素足のまま履くと

 

マコトの到着を今か今かとそわそわしながら待ったの

 

手持無沙汰だから、テーブルの上に置かれたままの

 

開栓済みのぬるいシャンパンの残りを

 

グラスに注いでは一気に飲み干してみたり

 

それから思い出したかのよーに、

 

「マコトは確か未だ独身だった筈だから大丈夫だわ」

 

とつぶやくと、あたしは自分の好きな香りの、

 

シャネルのココマドモアゼルのボディジェルを

 

両すねにたっぷりと塗り込んだの

 

結局、マコトから到着の連絡を貰ったのは、

 

彼にLINE電話でたたき起こされてから

 

実に45経ってからのことだったわ…

 

to be continued…

 

 

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