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トーキョー・ラヴァーズ~その15~(東京愛人特集)

あたしはもどかしい想いで下りエレベーターから降りると

 

ホテルの正面玄関へと足早に向かったの

 

おぉ、だけど!

 

今夜、1年ぶりに引っ張り出して履いた

 

黒の細身のショートブーツの、同じく細身ヒールは

 

「実にこの間、ご無沙汰しておりました!」って感じで

 

それを履いてからの歩き方をすっかり忘れてしまっていて

 

慎重にそして優雅にゆっくりと歩かないと

 

つるつる滑る大理石の床で転んで尻餅つきそーだったわ

 

そーして、正面玄関のガラス戸を潜り抜けて外に出ると

 

タクシーやプライベートの車が数台、既に所狭しと停まっていて

 

それぞれがヘッドライトを点灯しているものだから

 

まるで舞台でスポットライトを

 

いくつも浴びてるみたいで眩しかったわ

 

そして、そんなあたしの太もも辺りでたおやかにはためく

 

ジャージ素材の、モノクロで大柄な花模様の

 

しなやかなフレアースカートも

 

あたかも舞台衣装であるかのよーにライトで照らし出されて

 

きっとドラマティックな趣をあたしに添えてくれていた筈よ

 

そ、あたしは夕方に伊勢丹で待ち合わせた、

 

浦和リーマンとの失敗をちゃーんと反省して

 

さも男ウケしそーな、女っぷりの上がった服装をしていたわけだから

 

そして、そんなあたしをショウってば、

 

この数ある車のどれかからきっと見てくれている筈だと思ったけど

 

おぉ、ショウの車の色、車種を全然訊いていなかったわ!

 

ハンドバッグからスマホを取り出し、ショウに尋ねよーとした時

 

ちょーど、そのショウから電話がかかって来たのよ

 

「そのまま視線を上げて、真っ直ぐ見て!

 

そこに僕が乗ってる車があるから」

 

あたしは言われるまま、スマホから視線を上げて見たけど

 

何てたって、数台分あるヘッドライトが互いに交差して目がくらむばかり

 

咄嗟にその眩しさから逃れよーと目線をそらすと

 

夜闇の中、おまけに似たよーな黒い車ばかりで

 

もーどれがどれだか分からなくなっちゃったあせる

 

「もう一度、そのまま真っ直ぐ見て!

 

いい?ライトをパッシングさせるからね!」

 

おぉ、それでよーやく、

 

あたしはショウの車にたどり着けたというわけよ

 

ショウの車である、黒の高級国産大型車に乗り込んだの

 

「こんばんは、キデです」

 

「こんばんは、ショウです」

 

挨拶もそこそこに、ショウは車を出したわ

 

あたしは運転する、ショウの横顔を

 

ここぞとばかりにまじまじと見たの

 

そーねぇ、正直、プロフの写真とはかなり印象は違ったかな

 

…もっと、正直に辛辣に言えば、別人みたいだったかな…とw

 

ショウはそーいうあたしの反応は織り込みだったのか

 

「プロフの写真は盛っているから、実物はかなり違うって思われるかもよ?」

 

って、会う前から何度も予防線張られまくりだったけどw

 

そーね、まず髪型も違って、実物のショウは何て言うのか、

 

上手い例えが思いつかないけど、

 

おかっぱのよーな肩上のワンレンの長髪だったわね

 

そー言いきってしまうと、

 

どーにもコミカルな響きが先立ってしまうけど

 

でも、暗い車内から遠目でも、

 

髪が丁寧に手入れされているのが分かるよーな

 

そんな感じだったのよ

 

…うーん、でもやっぱり彼はプロフの写真のよーに、

 

短髪の方が素敵だと思います、コホン

 

それから、彼は小柄でどこか華奢な印象を受けたわ

 

そーねぇ、もっとふっくらとされていたら、

 

顔の少し目立ちがちな皺も幾分消し去ってくれていたかも

 

おぉ、それから印象的だったのは、黒目が大きいのだけど

 

特筆すべきは、その虹彩の不思議な色!

 

思わず「カラコン入れているの?」って訊いてしまったほど

 

シベリアンハスキー犬みたいな、

 

淡い青みがかったダークグレーの色だったの

 

そーね、その印象的な目といい、顔立ちは整っていて

 

若かりし頃は相当モテたんだろーなって思ったわ

 

それから、これはあたしの勝手な偏見だけど

 

東京の人ってば男女問わずに黒1色の着こなしが多い!

 

そのご多分に漏れず、ショウも隙のないモノクロコーデだったわね

 

「さてと、どこへ車を走らせようか…」

 

「あたしは全く土地勘がないので、ショウさんに全面的にお任せします

 

だけど、いつも移動は地下鉄ばかりで、外の景色を楽しめないから

 

出来れば、あたしの好きな夜景が楽しめるコースがいいかなぁ」

 

あたしのそんなリクエストに、ショウ

 

「首都高だと東京出ちゃうしな…うーん、どうしたものかな…」

 

1人でブツブツと何かつぶやくと、

 

あたしの知らないどこかを目指してそのまま車を走らせ続けたのよ

 

そーね、偉そーに言わせて貰えば、

 

外見的にはあたしの好みではなかったショウだけど

 

それでも「あー、会ってガッカリした!」って思わずにいて

 

むしろ彼に惹きつけられたのは、

 

彼が落ち着いた、しかも品のある雰囲気を漂わせていたからよ

 

初対面なのにあたしはとてもほっとしていたし

 

もっと彼の世界を覗いてみたいと思わせたの

 

「そうそう、キデさんのブログを少しだけど読ませて貰ったよ」

 

「あら!早速読んで下さったんですね、とても嬉しーです!」

 

あたしの性生活を赤裸々に書いたブログを読んだおかげで

 

ショウってば、あたしという女の全貌を

 

垣間見たと思ってくれたのかも知れない

 

その後、あたしは何かの話の流れで問わず語りで、

 

あたしの職業の話やブログにも時々登場する、

 

17歳年上でステージ4の腎がんを患って

 

おまけにEDの夫の話も話したりしたわ

 

勢いだけで会ってドライブに出かけたかのよーに

 

思われたあたしたちだったけど

 

実はショウにしても、あたしにしても

 

Kakaoでのやり取り、電話での応対ぶりから

 

一見軽薄そーに見えても、

 

互いに真面目で信用するに足る相手だと判断していたの

 

そ、そこはあたしだって、

 

いくら性的に自由奔放だと思われていよーとも

 

実は慎重でしっかりと相手を選んでいるつもりなのよ…

 

to be continued…

 

 

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