「元気にしてた?」
あたしが車に乗り込むと、
アレックスはあたしの顔をちらりと見て言ったの
「ええ、元気にしてたわよ、
あたしたち何日ぶりに会ったのかしら?」
その間もあたしとアレックスは付かず離れずな感じで
LINEのやり取りはしていたから
そんなに離れていた感じもしないのだけどね
そ、このアレックスは、ベッタリと甘えてくる感じでは決してなく
常にあたしの自由を優先してくれる、
そんな大人な男って感じなのだけど
でも、だからと言って、日本人のセフレメンズにありがちな
逢瀬したい時だけに、都合お伺いのメールを寄越してくるという、
そんな素っ気ない感じと言うのでも決してない
あたしからしばらく連絡が途絶えると、
必ず「元気にしてる?」ってメールを寄越してくる
うーん、なかなか絶妙な距離の取り方!!
そ、あたしだって別にベタベタと
白々しいメールのやり取りをしたいとは思っちゃいないけど
だからと言って、露骨に放置されっぱなしも
こちとら人の子だったりするわけだから
やっぱりどこかさみしーものがあったりするわけだし
その点、このアレックスのよーな、さり気ない
「僕は逢瀬出来ない日だって、こーしてちゃーんと
あなたのことを考えたりしていますよ
だから、あなたも僕のことをどーぞ忘れないでいてくださいね」
って、アピールもなかなか心憎いものね、うふふ
だけど!!
唯一、未だに慣れないのが、余りに大胆不敵、縦横無尽な彼の運転!!
彼の気質によるものなのか、それとも、カナダやナイジェリアとか言った
広大な土地をきっと我が物顔で運転していた時の名残りなのか
おぉ、この狭い日本の道路ではちょっとそれは自殺行為に等しいわね
いつだって、あたしは待ち合わせ場所からホテルまでわずか10分足らずの道中
メイクラブでは決して味わえないよーな、
スリルと緊張を体験することになるのよ
うふふ、ホーント、一緒にいると退屈とは無縁の男ね
さて、アレックスはあたしが何も案内しなくても、
ホテル街へとすいすい向かったわけだけど
うーん、またもやあの、あたしが苦手なホテルFへと行くのかしらと思っていたら
その隣の、あたしが最近根城としてる、ホテルKへと入ってくれたから
あたしも思わず胸をなでおろしたものよ
あたしがセフレトライアルの会場として
一番最初に挙げてたことを覚えていてくれたのかしら?
アレックスがホテルの、部屋ごとにあるガレージに車を入れると
先に車から出てあたしは、部屋へと続く階段のドアの前でアレックスを待ったの
だけど!!
アレックスってば、いつまでも車内で何やらガサゴソとしてなかなか出てこない!
どーしたのかしら、メンズがあたしをここでこーやって待たせるのは珍しーと思っていると
アレックスは何やら大きな白いビニール袋を提げて出て来たわね
あたしの視線に気付いたのか、こちらから訊かなくても彼は答えてくれたわ
「これは、お酒とかたくさん買い込んで来たんだよ
だってキデはテキーラ、まだ飲んだことないって言っていただろ?」
アレックス、あんたー、あたしを上回る、無類の酒好きやなー!w
…ま、そー言いながらも、あたしも既に出がけの1本で、缶ビール空けて来たけど、さ
そーは言っても、仕事のある平日はお酒を一切飲まないと言うアレックスの口癖は
「メイクラブの前に酒を飲むと飲まないとでは、Pの立ちが全然違う!」
だから、うふふ、アレックスにとっては、アルコールがもはや媚薬なのかもね
でもね!!
…アレックスによると、最高の媚薬は…マリファナらしい…ゴクリ
さて、あたしたちはホテルの部屋に入ると、あたしはルーティンとして
ホテルのメンバーズカードを機械に通し、それからそそくさと自ら
自動止水でお風呂のお湯を張りに行ったの
もちろん、あたしのことだから、家を出る直前にシャワーは済ませてあったけど
外も寒ければ、まだ暖房の効いていない部屋も寒かったから、
改めてここでお湯に浸かって暖を取りたいというのもあったわね
だって、午後3時から夜9時過ぎまでの長丁場の缶詰め逢瀬になるのだから
ここで景気づけにまずは長風呂としゃれこんでも罪はない筈よ
それに!!
メイクラブの前にいかに気分を高めてわくわくさせつつ
体の方はリラックスさせてほぐしておくというのが
これまた、この後のメイクラブでの仕上がりを左右してくるのよ
なーんて感じで、あたしがバスタブの蛇口をひねって部屋へ戻ると
アレックスはテーブルの上にアルコール類のドリンクの缶を広げていたわね
頼んでもいなかったのに、あたしには数種類の缶チューハイを渡してくれたの
…偶然、あたしの好きな銘柄のチューハイだったから良かったものの、ね
あたしがこの後のメイクラブに支障をきたすとイヤだなーって、
ちびりちびりと飲んでいる隣で、
毎回最初の1本目はギネスの缶ビールと決めているのか
アレックスはこちらが気が付けば既に飲み干していたわね
さーて、今回はどんな新奇&珍奇な「愛の言葉」が聞けるのかしらんって
こちらはメモを取らんばかりの勢いで待ち構えていたのに
うーん、きっと、受け手であるあたしの前回のリアクションの薄さがまずかったせいね
今回は特になーんにも言われなかったわ、ガックリ_| ̄|○
あれ、ちょっとクセになって、
後からボディーブローのよーにじわじわと効いてハマったんだけどなぁw
その代わりに、思い出したかのよーに、そ、少し取ってつけたよーな感じで
「キデ、可愛い♡」とは何度か言ってくれたりしたものの
物書きの端くれでもあるあたしとしては、
「そんなのこちとら聞き飽きとる!!もっとおもろい愛の言葉をくれぃ!!」
って、ついつい1人心中でツッこんでいたけどね
そんでもって、そんなあたしの心中を見透かしたかのよーに
アレックスがこー言って来たのには、
あまりに的を得た言葉だったものでさすがのあたしも焦ったわ
「キデ、『可愛い』とか言われ慣れしているんだろう?
だって、キデはこんなに可愛いもの、他の男からも言われないわけないよ
だから、聞き飽きてるんだよね…」
あたしはそれに対して、特に何も言わずに含み笑いをしただけなので
次回までに何かまた新たな、新奇&珍奇な愛の言葉を練ってくることかしらん?
アレックス、楽しみに待ってるわー!w
さて、アレックスは前回とは違って、あたしが彼の隣に隙間なく座ると
彼はそれが合図と言わんばかりに、またもや、あたしのカシミアのセーターの上から
今度は何のためらいもなく、あたしの胸元を触りだしたの
あたしがブラの中に仕込んだ分厚いパットを巧みに避けて
「ピンポイントで乳首だけを探り当てるところはさっすが!!」って、
ちがーう!!
着道楽のあたしはそんなことをされるとたちまちに毛玉が出来るから大嫌い!
前回のセフレトライアルの時にも確かにそー伝えた筈だったけど?
しかも、気が付けば、それで気分が乗って来たのか、
アレックスってば、もはやセーターを激しく擦るよーな動きになっていたわけだし
「アレックス、そーやってセーターの上から触れると、
毛玉が出来るから止めて、あたし、脱ぐから」
「いや、分かってはいるんだけど、僕の指先が冷たいから
キデに不快な思いをさせちゃダメだなって思って…」
そー言いながら、あたしの頬に当てて来た、アレックスの指は確かに
つららと言うのは少し大袈裟だったかも知れないけど
でも、細くて骨っぽい彼の指先はまさにそれぐらいの冷たさがあったわね
そーそ、加齢に抗い、食事も節制して、筋トレにも励んで
若いころからの体型をキープし続けているメンズあるあるなんだけど
決まって彼らは一様に指先が細くて骨っぽく、そんでもって末端冷え性なのか
あたしよりもずーっと手が冷たいのよ!
そーねぇ、ぽちゃ型のメンズの方が手はほくほくと温かかったりするわね
…実はあたし、ぽちゃ型のメンズもキライじゃないのw
正常位に支障のある、80キロオーバーでない限りは
だって、むにむにと抱き心地、抱かれ心地が良かったりするし
第一、いつでもほくほくとネコなみに体温高めで温かいしね
そーそ、実際、このアレックスもマックでは用心深く
ビックマック1個とオレンジジュースしか召さないって話じゃない?
うちのおデブの夫なんか、ビックマックにチキンバーガー、
コーラにフライドポテト、
チキンナゲットまでペロリと食べて平らげてしまうのにねw
ほーんと、がんステージⅣとは思えない食いしん坊ぶり…
ま、あたしと負けず劣らず伊達男らしー、
アレックスのことだから今後もこーやって、
指先が冷たいのは仕方ないか…w
だけど!!
後で何気にあたしは自分のセーターを見たら、
アレックスが触った両乳首の辺りから2本の線が平行に下へと走っていて
よく見たら、蟻の門渡り(とわたり)🐜みたいに
点々と毛玉が出来上がっていたのには
「ひゃー!!」って、
こちとら小さな悲鳴を上げずにはいられなかったわよ
んもー、まったく、アレックスってば!!
to be continued…
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