~キデ、第2愛人、ヒロシとデートの巻、前編~
お、キデ、ここ、素敵な店じゃんか
そーでしょ、個室の韓国料理店
うちのオンマの贔屓のお店なの
おい、いいのか、そんなお袋さん絡みの店に
俺なんかと一緒に来ても?
いいんじゃない?
別に食事するだけだし、店主だって
私がオンマの娘であることも知らないし
それにね、万が一、
オンマの知るところになったとしても
大したことではないわ
どーせ、うちのオンマだって
私が、あの昭和枯れすすきの夫で
黙って満足しているよーな女でないことは
とうにお見通しだし
だったら女であれ、もっと女であれって
行き着くところまで徹底して行かないと、
私が気が済まぬ女であることも
熟知して諦めてるところあるしね
うふふ、うちの家系の女どもは皆、
オンマにしろ、妹にしろ、私にしろ、
気性が激しい女たちばかりなのよ
昔、オンマが日本に来たばかりの頃、
日本人である父と恋に落ちて
でも、日本人との交際を認めぬ両親から
韓国へ連れ戻されて軟禁されてしまったけど
それをもろともせず、家を抜け出して
父の元へと出奔したわけだからね
そーなんか…俺、お前の歴史をずっと
知りたいと思っていたから、
何かお袋さんの話、聞けて良かったわ
うふふ、それに私、分かるの
何が?
ヒロシは確実にうちのオンマに気に入られる
タイプの私の愛人ね
そーなんか?
ええ、そーよ
うちのオンマは私の歴代の
ボーイフレンドに対する
好き嫌いが激しかったからねw
ま、大抵、嫌われるメンズが多かったけれど
何てたって、私はオンマから言わせると
「ゲテモノ食いの娘」らしいからw
そーなんか?
うふふ、面白いこと、思いついたわ
ねぇ、ヒロシ、うちのオンマと会ってみる?
「ヒロシ、こちらは私の愛人の1人よ」って
キデ、お前は本当に自由奔放な女だな
ま、そこが好きなところでもあるけどな
うーん、でもさすがにお前のお袋さんと
会うのはちょっと勘弁だな
あら、そう?
でもそんなこと言っても、
いつかきっと必ずヒロシは
うちのオンマと会うことになるわね
うふふ…
そーそ、妹の愛人はうちのオンマに
妹の気性の激しさで悩んで相談に
乗ってもらっているのよ
それから、第1愛人の教祖様なんかは
「いずれ僕はキデさんのオンマさんと
それから妹さんとも
お会いすることになるでしょうね」って
こちらが何も言っていないのに
早くも予言していたしw
それに予めオンマに紹介していた方が
何かあった時、味方にもなってくれるわ
アリバイ工作とかね
ま、そんなことよりも面白そーだから
紹介してみたいだけの話なんだけどね
それに、うちの夫は我関せずの姿勢を
貫いて何があっても
何も言わないとは思うけど
そーだな、お前の旦那さんな…
お前より俺の方が旦那さんとは
付き合い古いしな
まさにそーいうタイプの人だよな
あ、でも、うちの夫は、ヒロシにだけは
やたら敵対視しているところもあるから
油断は出来ないわね
そーなんだよな…
あ、明日の夜、会議あったよな?
えぇ、7時からね、待ってるわ
白々しく、ビジネスモードでw
ねぇ、それはそーと、ヒロシ、
何を頼む?ビールでしょ?
私もそーするわ
私たち2人で飲むとなぜか
お店に迷惑をかけてばかりだから
今回は個室のあるお店にしたのよ
そーだったな
でも、大抵はお前の方が酒癖悪いぞ
否定はしないけど、お互い様でしょ
ねぇ、それにしても、不思議だわ
何が?
ヒロシと一緒にいると、すっかり
寛いだ気分になれてしまうの
うふふ、まるで父親とわんぱく息子にでも
なったかのよーな感じだわ
もちろん、ヒロシが父親ね
私も本来の私に戻れてしまうと言うか
きっとそれは、ヒロシの放つオーラのせいね
何て言うのかしら、ヒロシのオーラと
私のオーラとが共鳴して
増強し合ってる、そんな感覚ね
だから、言葉も余り要らないと言うか
離れていても、ずーっとつながっているって
感覚があるから、私たちそんなにお互いに
マメには連絡を取り合わないけど
全然寂しくないし、会えばすぐにツーカーで
話も通じるって感じよね
この間の会わなかったブランクが嘘のよーに
そーだな、確かにそんなところあるな
たぶんね、私たち、人生の方向性が同じだからよ
ヒロシは二言目にはとにかく人のために
動きたい、人のために自分が出来ることを
したいって言うじゃない?
実際、ヒロシはそーいうふうに動いて生きてるしね
私はヒロシのそーいうところを尊敬して好きなの
そーよ、私は愛人にするなら、
自分が尊敬出来る男じゃなきゃイヤなの
第1愛人の教祖様だってヒロシと同じよ
彼も二言目には人のために
自分が出来ることをしたいって言っているわ
だから、私はあなたたちを
尊敬してるし大好きなの
そして、私には、
人を楽しませたいという
強烈な欲求があるわ
そのためには、
自分が道化師になるのも厭わないわけ
もちろん、自分が楽しみながら
行うのが大前提、一番大事よ
ねぇ、ヒロシ、私がブログを
しているのは知っているでしょ?
うふふ、ヒロシは頑なに
読むのを拒んでいるけどw
ああ、そーだな
私のブログは、そんなヒロシを除く、
Kidechan’s men 内の
回覧板的存在でありながら
私が自分の考えをまとめるための
備忘録的存在でもあり
そして、そんなブログを
誰かに読んでもらって
ある人には衝撃、ある人には滑稽さ
ある人には艶話として
何らか心を揺さぶられることを
楽しんで欲しいなと思っているの
そして微力ながら常に訴えていることは
人は誰かの考えから影響を
免れることは決して出来ないけれど
それでも、その誰かからの借り物の考え、
概念が確実に自分を苦しめているのなら
その固定概念を疑え、
捨ててしまえということなの
もっと自分の内部の声、
身体からの声に耳を傾けよってね
私が一見ハチャメチャに見えるよーな
行動を取っているのも
まさにその自分を不自由にしてる固定概念や
常識と格闘してる姿だと言っても過言ではないわ
そーよ、実際にアインシュタインだって言ってるでしょ
「常識とは 18 歳までに身につけた
偏見のコレクションでしかない」ってね
ああ、お前の言っていることは分かるよ
ねぇ、ヒロシ、私、お気にの第3愛人、
トオルと先日別れたばかりなの
トオルと…?
そーか、大丈夫か…?
トオルと別れたことは
別に哀しくも何ともないけど
ただ、トオルが私たちと
同じ側の人間だと思っていたのに
いえ、そーいう素質は十分にある人間なのに
彼は目先の己の欲しか見ておらず
人から奪ってばかりの残酷な人間
であることが分かったことが
どーしてもショックで仕方ないの
そーか、こればっかりは分かるヤツは分かる、
分からんヤツは分からん話だからな…
ね、ヒロシ、このキムチ、食べてみて
ここのハルモニが漬けたキムチは天下一品よ
日本には本格的なキムチがないだけにね
あ、私、2杯目はマッコリを頼むわ
ヒロシはまたビールなの?
それとも、ソジュ(韓国焼酎)飲む?
よし、キデにちなんで
俺もソジュ飲んでみよーかな
了解、そーこなくっちゃね
オンニ―、ヨギ マッコリ ハナ
ソジュ ハナ チュセヨ
to be continued…
コメント